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作図 「垂直二等分線」

作図(さくず)は、直線を引くための定規と、円をかいたり線の長さを写し取ったりするためのコンパスだけを使って図形 を描くことをいいます。作図では、定規を長さを測るためには使えません。

作図の基本

次のように \(3\) つの辺 \(AB,\;BC,\;CA\) が与えられた長さとなるような \(△ABC\) を作図してみましょう。

最初に、\(\color{blue}{△ABC}\) は、頂点を \(A\) とし底辺が \(BC\) の三角形であることを確認します。次に、底辺 \(BC\) を作図するために、

・適当な長さの直線を定規を使って横に引く

与えられた辺 \(BC\) の長さにコンパスを合わせ、幅を変えずに描いた直線にその長さを写し取ります。

・頂点 \(\boldsymbol{A}\) を作図する

辺 \(BC\) の作図後、頂点 \(A\) を定めます。辺 \(AB,\;CA\) が決まっているのでそれを利用し、
\(\small{①}\) 与えられた辺 \(AB,\;CA\) をそれぞれコンパスで写し取る
\(\small{②}\) \(B\) にコンパスの針をさし、\(AB\) を半径とする円をかく
\(\small{③}\) \(C\) にコンパスの針をさし、\(CA\) を半径とする円をかく
\(\small{④}\) \(\small{②③}\) の円の交点を頂点 \(A\) に定める

\(△ABC\) はこのような形に特定されます。

垂直二等分線

ある線分の中心を通り、その線分に垂直な直線を垂直二等分線(すいちょくにとうぶんせん)といいます。
次の線分 \(AB\) の垂直二等分線を作図してみましょう。

\(\small{①}\) コンパスで線分の両端の点 \(\boldsymbol{A,\;B}\) をそれぞれ中心とする半径の円をかく

注 意 円の半径は同じで \(2\) つの円が交わる長さとし、交点がわかるようにかく

\(\small{②}\) \(2\) つの円の交点 \(\boldsymbol{(P,\hspace{7px}Q)}\) を通る直線をひく
この場合、\(AP,\;BP,\;AQ,\;BQ\) はどれも円の半径にあたるので、 \[\color{blue}{AP=BP=AQ=BQ}\] であることから、これらを結んでできる四角形 \(AQBP\) は \(4\) 辺の長さが等しいひし形になります。 このとき、線分 \(AB\) と \(PQ\) はこのひし形の対角線となり

ひし形の性質
・ひし形の対角線は垂直に交わる [=直交する]
・対角線はそれぞれの中点で交わる

を満たしており、\(PQ\) は \(AB\) の垂直二等分線になることがわかります。

* 垂直二等分線の作図
\(\boldsymbol{a)}\) 線分の両端の点をそれぞれ中心とする等しい
  半径の円をかく
\(\boldsymbol{b)}\) \(\boldsymbol{2}\) つの円の交点を通る直線を引く
また、線分と垂直二等分線の交点は線分の中点にあたるので、同時に中点も作図できます。

さらに、線分 \(AB\) の垂直二等分線上のどの点も、 \(2\) 点 \(A,\;B\) から等しい距離にあることを覚えておきましょう。

例 題
下図のような \(2\) つの点 \(A,\;B\) と直線 \(l\) があります。このとき、\(AP=BP\) となるような点 \(P\) を直線 \(l\) 上に作図しましょう。

問題文の中の \([\;AP=BP\;]\) とは、「 \(2\) 点 \(A,\;B\) から等しい距離に \(1\) 点 \(P\) がある」ということですから、点 \(P\) は線分 \(AB\) の垂直二等分線上の点である考えられます。そこで、まず線分 \(AB\) の垂直二等分線を作図しましょう。

\(\small{①}\) 点 \(\boldsymbol{A,\;B}\) をそれぞれ中心とする同じ半径の円をかく

\(\small{②}\) \(\boldsymbol{2}\) つの円の交点を通る直線を引き、線分 \(\boldsymbol{AB}\) の垂直二等分線を作図する

\(\small{③}\) \(\small{②}\) でできた直線と \(\boldsymbol{l}\) との交点を \(\boldsymbol{P}\) と定める

この例題では、先に述べた垂直二等分線の性質「線分 \(AB\) の垂直二等分線上のどの点も \(2\) 点 \(A,\;B\) から等しい距離にある」を利用しています。

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