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図形の移動

図形の移動には「平行移動」「対称移動」「回転移動」の \(3\) つがあります。

平行移動

ある図形を、向きや大きさを変えることなく図形上のすべての点を同一方向に同一の距離だけ動かすことを 平行移動(へいこういどう)といいます。

上図のように、\(△ABC\) を平行移動するとき、図形上のすべての点が同じ方向に同じ距離だけ移動するので、対応する \(2\) 点を結ぶ線分は、 平行でかつ等しい長さになります。よって、
\begin{eqnarray} & & AA'\;/\!/\;BB'\;/\!/\;CC'\\[7px] & & \small{\text{であり}}\\[7px] & & AA'=BB'=CC' \end{eqnarray}
それぞれの三角形を構成する辺(\(=\)線分)も平行で等しい長さですから、 \begin{eqnarray} & & AB=A'B'\;\small{\text{であり}}\;\normalsize{AB\; /\!/\; A'B'}\\ & & BC=B'C'\;\small{\text{であり}}\;\normalsize{BC\; /\!/\; B'C'}\\ & & CA=C'A'\;\small{\text{であり}}\;\normalsize{CA\; /\!/\; C'A'} \end{eqnarray} という関係が成り立ちます。
次の \(△ABC\) を矢印の方向へ、矢印の長さだけ平行移動した図形をかいてみよう。

図形の平行移動は、図形上のすべての点を、同じ方向に同じ距離だけ移動させることですが、三角形の場合、 \(\boldsymbol{3}\) つの頂点を矢印の方向へ移動させます。 矢印の始まりの目盛と終わりの目盛の位置関係に注意して、各頂点から上方向に \(1\) 目盛、右方向に \(5\) 目盛移動した位置に対応する点を定めます。

最後に、対応するこれらの \(3\) 点を結べば \(△ABC\) を平行移動した \(△A'B'C'\) をかくことができます。

対称移動

\(1\) 度用紙を半分に折ってから広げ、折り目の左側に絵具で図形をかいた後、すぐにその用紙をもう一度折って広げれば、折り目の右側には左側にかいたものと同じで、向きが逆になった図形が現れることがわかります。このように、ある図形を折り目の反対側に折り返して移動することを 対称移動(たいしょういどう)といいます。 このとき、折り目となる部分を対称の軸といいます。 図のように、直線 \(l\) 対称の軸として \(△ABC\) を対称移動させると、\(△A'B'C'\) のような図形になります。

このときの \(2\) つの三角形は直線 \(l\) を対称の軸として「対称」、または「線対称」 といえます。線対称であることから、対称の軸 \(l\) は、対応する \(2\) 点を結ぶ線分の垂直二等分線になります。

次の図の \(△ABC\) を、直線 \(l\) を対称の軸として対称移動してみましょう。

線対称な図形をかく場合、対称軸である直線 \(l\) が \(△ABC\) の各頂点とそれに対応する点を結ぶ線分の垂直に二等分線 になるような \(3\) 点 \(A',\;B',\;C'\) をそれぞれ定めるようにします。

回転移動

ある図形を用紙にかき、用紙の \(1\) 点を画びょうでとめてその用紙を回転させると、かかれた図形もそれに伴って回転します。 このように、図形のある点を中心として一定の角度だけ回転させることを「回転移動」といいます。 また、 図のように、\(△ABC\) を点 \(O\) を中心に回転移動させ、\(△A'B'C'\) になるときの点 \(O\) を「回転の中心」といいます。

図形上のすべての点が回転の中心 \(O\) を中心とする同じ円周上を同じ角度だけ動き、それぞれ対応する点は回転の中心から等しい距離にあります。 上の図の \(△ABC\) において、 \[\color{blue}{OA=OA',\hspace{7px} OB=OB',\hspace{7px} OC=OC'}\] であり、対応する点を回転の中心と結んでできる角(\(=\)回転角)はすべて等しく、 \[\color{blue}{∠AOA'=∠BOB'=∠COC'}\] となります。 また、図のように \(△ABC\) を、点 \(O\) を中心に回転角を \(180^{\circ}\) 回転移動して \(△A'B'C'\) のような図形が できる移動を「点対称移動」といい、そのときの回転の中心 \(O\) を「対称の中心」といいます。このとき、\(△ABC\) と \(△A'B'C'\) は 点 \(O\) を中心として点対称であるといいます。

下の図のような \(△ABC\) の頂点 \(B\) を中心として左回りに \(90^{\circ}\) 回転移動した三角形を作図してみましょう。

図形が回転移動するということは、図形上のすべての点が回転の中心 \(O\) を中心とする円の円周上を同じ角度だけ動くということですから、三角形の場合は「すべての点」の代わりに代表的な点 \(A,\;B,\;C\) を移動させます。 この場合、 \(△ABC\) の頂点 \(B\) を回転の中心とするので、

・辺 \(\boldsymbol{AB}\) を半径とする円をかく
・円周上の点 \(\boldsymbol{A}\) を回転させたときの対応する点 \(\boldsymbol{A'}\)を定める
・\(\boldsymbol{A}\) と \(\boldsymbol{A'}\) はともに同じ円周上にあるので、\(\boldsymbol{BA=BA'}\)

ここまで整理したなら、作図に入ります。

左回りに \(90^{\circ}\) 回転させるので、 \[\color{blue}{∠ABA'=90^{\circ}}\] 線分 \(BA\) との角度が \(90^{\circ}\) の \(BA'\) を作図するには、線分 \(BA\) の垂直二等分線をつくります。

\(\boldsymbol{a.}\) 円 \(\boldsymbol{B}\) の半径 \(\boldsymbol{BA}\) を延長して点 \(\boldsymbol{A}\) と対応する円周上のもう \(\boldsymbol{1}\) 点を定める
\(\boldsymbol{b.}\) \(\boldsymbol{a.}\) で作図した線分(\(=\)円 \(\boldsymbol{O}\) の直径)の垂直二等分線を作図する
\(\boldsymbol{c.}\) \(\boldsymbol{b.}\) でできた直線と円 \(\boldsymbol{B}\) の交点を \(\boldsymbol{A'}\) と定める

上の手順を \(△ABC\) の頂点 \(C\) についても行い、対応する点 \(C'\) を定めます。

点 \(A'\) と \(B'\) と回転の中心 \(B\) とを結べば \(△ABC\) を左回りに \(90^{\circ}\) 回転移動した \(△A'BC'\) ができます。作図に使用した線は残しておきましょう。

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