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比例とそのグラフ

比例は、変数 \(x,\;y\) について、一方が他方の定数倍であるような関係をいいます。

比例と比例定数

\(2\) つの変数 \(x,\;y\) があり、 \(\boldsymbol{y=ax}\) \((a\) は \(0\) でない定数\()\) のような関係にあるとき、 \(y\) は \(x\) に比例 (ひれい)するといいます。また、この場合の定数 \(\boldsymbol{a}\) を「比例定数」といいます。 たとえば、\(x\) と \(y\) の間に \(y=2x\) のような関係がある場合について考えてみます。 \begin{eqnarray} & &x=1\; \small{\text{のとき}}\; \normalsize{y=2 \times 1=2}\\[5px] & &x=2\; \small{\text{のとき}}\; \normalsize{y=2 \times 2=4} \end{eqnarray} \(x\) の値が変化するにしたがって \(y\) の値も変化するから、\(y\) は \(x\) の関数になります。同じく、

\begin{eqnarray} & &y=2\; \small{\text{のとき}}\; \normalsize{x=2 \div 2=1}\\[5px] & &x=4\; \small{\text{のとき}}\; \normalsize{y=4 \div 2=2} \end{eqnarray} \(y\) の値を変化するさせても、 \(x\) の値はそれに対応して変化するから、\(\boldsymbol{x}\) は \(\boldsymbol{y}\) の関数になります。

比例の計算

\(x\;km\) の道のりを自転車で分速 \(240m\) の速さで走ったときにかかる時間を \(y\) 分としたとき、\(y\) を \(x\) の式で表してみましょう。 速さの問題では、数量関係を整理して、単位をそろえることが大切です。

・数量:\(\boldsymbol{x\;km},\) 分速 \(\boldsymbol{240m},\) \(\boldsymbol{y}\) 分

時間の単位は「」だけですが、道のりの単位は「\(km\)」と「\(m\)」があるのでどちらかに統一する必要があります。 ふつうは、大きな単位から小さな単位に統一した方が、少数や分数にならないので、「\(m\)」に統一します。\[\boldsymbol{x km=1000x m}\] として、\(y\) を \(x\) の式で表します。「速さ」の公式は、

道のり\(=\)速さ \(\times\) 時間

より、 \begin{eqnarray} y &=&1000x \div 240\\ &=&\frac{1000}{240}x\\ &=&\frac{100}{24}x\\ &=&\frac{25}{6}x\\[7px] & &\boldsymbol{∴\quad y=\frac{25}{6}x} \end{eqnarray} 比例定数が \(\cfrac{25}{6}\) であり、「時間が道のり(距離)に比例」 するこを表しています。

比例を表す数表

数表(すうひょう)は、数値を表に表したものです。ここでは比例を表す数表について学習します。   次の数表において、\(y\) が \(x\) に比例するとき、空所(ア)、(イ)に当てはまる数を入れてみましょう。

\(x\) - \(-2\) - \(4\) -
\(y\) \(-2\) - \(10\) - \(15\)

\(y\) が \(x\) に比例するので、 \[\boldsymbol{y=ax}\; \small{\text{―― ①}}\] 次に、\(\small{①}\) の式を用いて、比例定数:\(a\) を求めましょう。

\begin{eqnarray} 10&=&a \times 4\\ a&=&10 \div 4\\ &=&\frac{10}{4}=\frac{5}{2}\\ ∴\quad y &=&\frac{5}{2}x\; \small{\text{―― ②}} \end{eqnarray} \(\small{②}\) から、(ア)(イ)を求めます \begin{eqnarray} \small{\text{(ア)}}\quad\normalsize{x}&=&-2\;\small{\text{のとき、}}\\ y&=&\frac{5}{2} \times (-2)\\ &=&5 \times (-1)\\ &=&\boldsymbol{-5}\\[10px] \small{\text{(イ)}}\quad\normalsize{y}&=&15\;\small{\text{のとき、}}\\ 15&=&\frac{5}{2}x\\ x&=&15 \div \frac{5}{2}\\ &=&15 \times \frac{2}{5}\\ &=&3 \times 2\\ &=&\boldsymbol{6} \end{eqnarray} よって、
(ア):\(\boldsymbol{\color{blue}{-5}}\) 、(イ): \(\boldsymbol{\color{blue}{6}}\)
になります。「\(x\) の値が変われば、それに対応して \(y\) の値も変わる」ので、「\(y\) は \(x\) の関数」であり、「\(x\) は \(y\) の関数」でも あるということを覚えておきましょう。 上の比例の関係を表す数表は、次のようになります。

\(\boldsymbol{x}\) \(...\) \(-6\) \(-4\) \(-2\) \(0\) \(2\) \(4\) \(6\) \(...\)
\(\boldsymbol{y}\) \(...\) \(-15\) \(-10\) \(-5\) \(\cfrac{5}{2}\) \(5\) \(10\) \(15\) \(...\)

比例のグラフ

\(y=\cfrac{1}{2}x\) と \(y=-x\) のグラフをかいてみましょう。グラフは
\(\small{①}\) \(x\) と \(y\) の関係を表す数表を作成する
② ① の数表に対応する点を座標平面上に書き入れ、その点を線で結ぶ
という手順で書きます。

\(\small{①}\) 数表を作成する

\(\boldsymbol{\cdot y=\cfrac{1}{2}x}\)
\(\boldsymbol{x}\) \(-5\) \(-4\) \(-3\) \(-2\) \(-1\) \(0\) \(1\) \(2\) \(3\) \(4\) \(5\)
\(\boldsymbol{y}\) \(-\cfrac{5}{2}\) \(-2\) \(-\cfrac{3}{2}\) \(-1\) \(-\cfrac{1}{2}\) \(0\) \(\cfrac{1}{2}\) \(1\) \(\cfrac{3}{2}\) \(2\) \(\cfrac{5}{2}\)
\(\boldsymbol{\cdot y=-x}\)
\(\boldsymbol{x}\) \(-5\) \(-4\) \(-3\) \(-2\) \(-1\) \(0\) \(1\) \(2\) \(3\) \(4\) \(5\)
\(\boldsymbol{y}\) \(5\) \(4\) \(3\) \(2\) \(1\) \(0\) \(-1\) \(-2\) \(-3\) \(-4\) \(-5\)

\(\small{②}\) 数表の \(\boldsymbol{x,\;y}\) の数値を \(\boldsymbol{(x,\hspace{7px}y)}\) という座標にしてグラフに
 書き入れ、各点を結ぶ線を描く
\(\cdot\boldsymbol{y=\cfrac{1}{2}x}\) のグラフ

座標 \((x,\hspace{7px}y)\) が両方整数になる値を選んで、それを通る直線をつくります。この点を線で結べば \(y=\cfrac{1}{2}x\) のグラフが出来上がります。

\(\cdot\boldsymbol{y=-x}\) のグラフ

座標 \((x,\hspace{7px}y)\) が両方整数になる値を選んで、それを通る直線をつくります。この点を線で結べば、図のような直線になります。

\(2\) つのグラフでは、比例を表す関数 \(y=ax\) のグラフが \(x=0\) のときには必ず \(y=0\) になるので、

原点 \(O\) を通る直線

になります。また、 \(y=\cfrac{1}{2}x\) の関数では、\(x\) が \(1\) 増えると、\(y\) は \(\cfrac{1}{2}\) 増え、 \(1\) 減ると、 \(y\) も \(\cfrac{1}{2}\) 減り、\(y=-x\) の関数では \(x\) が \(1\) 増えると、\(y\) は \(1\) 減り \((=-1\) 増え\()\)、 \(1\) 減ると、 \(y\) は \(1\) 増えるといったように、

\(\boldsymbol{x}\) が \(\boldsymbol{1}\) 増えると、 \(\boldsymbol{y}\) は比例定数 \(\boldsymbol{a}\) の分だけ増える

ことになります。つまり、比例の関数 \(y=ax\) は、

\(\boldsymbol{a \gt 0}\) のとき \(→\) 右上がりのグラフ
\(\boldsymbol{a \lt 0}\) のとき \(→\) 右下がりのグラフ

になります。 また、例題から分かるように、\(y=ax\) のグラフでは、原点を通る直線はいくつも存在しますが、

ある \(\boldsymbol{2}\) 点 \(\boldsymbol{P,\;Q}\) を通る直線は \(\boldsymbol{1}\) つだけ

なので、「原点」と「別の \(\boldsymbol{1}\) 点」が分かれば、直線がかけます。たとえば、原点と点 \((4,\hspace{7px}2)\) が分かれば、\(y=\cfrac{1}{2}x\) のグラフができます。ただし、原点以外のある \(1\) 点 を決めるときのポイントは、\(x\) 座標や \(y\) 座標が分数や小数以外の整数になる点を見つけます。さらに、原点からより離れている点を選ぶ方が、実際の直線とのずれが少なくなります。

グラフから式を求める

次の \((1)\;\sim\;(4)\) のグラフは、下の \(\small{①}\;\normalsize{\sim}\;\small{④}\) の直線のどれにあたるかを見ていきましょう。

\((1)\quad y=\cfrac{2}{3}x\) \((2)\quad y=-\cfrac{1}{4}x\)
\((3)\quad y=\cfrac{5}{2}x\) \((4)\quad y=-3x\)

\(y=ax\) の関数は、「原点を通る直線」 になります。直線の形は、それぞれの比例定数 \(a\) の値によって決まります。 描かれている直線の式を求めるには、

 
\(\boldsymbol{1)}\) グラフの座標 \((\boldsymbol{x,\hspace{7px}y})\) を求める
\(\boldsymbol{2)\quad 1)}\) から比例定数 \(\boldsymbol{a}\) を求める

という手順で行います。

・直線上に読み取りやすい \(1\) 点をとる

\(\small{①} \quad \normalsize{(-4,\hspace{8px}1)} \hspace{15px} \small{②} \quad \normalsize{(-1,\hspace{8px}3)}\)
\(\small{③} \quad \normalsize{(2,\hspace{9px}5)} \hspace{15px} \small{④} \quad \normalsize{(3,\hspace{9px}2)}\)

\(\boldsymbol{y=ax}\) の式に、\(\small{①}\;\normalsize{\sim}\;\small{④}\) の各座標を代入して比例定数 \(\boldsymbol{a}\) を求める
\(y=ax\) を \(a=\cfrac{y}{x}\) に変形して、上の座標を当てはめます。
\begin{eqnarray} & & \small{①}\quad \normalsize{x=-4}\;\small{\text{のとき}}\;\normalsize{y=1}\\ & & \small{\text{から}}\\ & & 1=a \times -4\\ & & \small{\text{より}}\\ & & a = -\frac{1}{4}\\[5px] & & ∴\quad \boldsymbol{\color{blue}{\small{①}\;\normalsize{=(2)}}}\\[10px] & & \small{②}\quad \normalsize{x=-1}\;\small{\text{のとき}}\;\normalsize{y=3}\\ & & \small{\text{から}}\\ & & 3=a \times -1\\ & & \small{\text{より}}\\ & & a=-3\\[5px] & & ∴\quad \boldsymbol{\color{blue}{\small{②}\;\normalsize{=(4)}}}\\[10px] & & \small{③}\quad \normalsize{x=2}\;\small{\text{のとき}}\;\normalsize{y=5}\\ & & \small{\text{から}}\\ & & 5=a \times 2\\ & & \small{\text{より}}\\ & & a=\frac{5}{2}\\[5px] & & ∴\quad \boldsymbol{\color{blue}{\small{③}\;\normalsize{=(3)}}}\\[10px] & & \small{④}\quad \normalsize{}x=3\;\small{\text{のとき}}\;\normalsize{y=2}\\ & & \small{\text{から}}\\ & & 2=a \times 3\\ & & \small{\text{より}}\\ & & a=\frac{2}{3}\\[5px] & & ∴\quad \boldsymbol{\color{blue}{\small{④}\;\normalsize{=(1)}}} \end{eqnarray}

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