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正の数と負の数

小学校では学習しなかった「\(0\)よりも小さい数」についての概念や性質を知り、正の数と負の数を用いたいろいろな計算の仕方などを学習します。

正の数・負の数 主な学習のポイント
・\(\boldsymbol{0}\) よりも小さい数について
・正の数・負の数の計算方法
・正の数・負の数の様々な使われ方を学ぶ
この項目についてお聞きになりたいことは、 「*ご質問・お問わせ」からお願いします

「\(\boldsymbol{0}\)」よりも小さい数

天気予報ではよく、「今朝の最低気温、マイナス\(2\)度」 などと言われますが、この 「マイナス\(2\)度」 は、「\(0\)度よりも\(2\)度低い気温」 のことをいいます。 このように、「\(0\)よりも小さい数」もこの世には存在します。そこで、数についての定義では、

定 義 \(0\) よりも大きい数を「正の数」といい、\(0\) よりも小さい数を「負の数」という

・決まり
正の数の前には正の符号 [\(+\;:\;\)プラス]をつける \(=\boldsymbol{+4}\) (プラス \(4\) と読む)
負の数の前には負の符号〈\(-\;:\;\)マイナス]をつける \(=\boldsymbol{-4}\) (マイナス \(4\) と読む)

* 正の符号〈+〉は省略することができます。
 \(\boldsymbol{+4\;⇒\;4}\)

・ことばの意味

整 数 少数や分数でない数のこと \(0\) を含み、それより大きい数と小さい数をいう

自然数 物の個数や順番を表す数をいう (\(=\)正の整数) 人や物の個数を表すとき、ふつう \(0\) を含めない

数直線(すうちょくせん)

左右にのびる \(1\) 直線をかき、その直線上に基準となる \(1\) 点をとり、その点を「\(\boldsymbol{0}\)」に定めます。そして、「\(0\)」の左右に、一定の間隔で目盛をつけて、正の数と負の数を対応させた\(=\) 割り当てた)ものを 「数直線」といいます。数直線では、「\(0\)」よりも右側に正の数、左側に負の数を対応させます。

・ことばの意味

原 点 数直線において、「\(0\)」を対応させた基準となる点 (その他、座標においては座標軸の交点)
正の方向 数直線上の原点を基準に、数の大きくなる右方向をいう
負の方向 数直線上の原点を基準に、数の小さくなる左方向をいう
*対応させる:割り当てる

反対の性質を表す表現

反対の性質を表すことばを正の数、負の数を使って表現することができます。下の表は、ある生徒がつけている「おこづかい帳」を表します。

 
(単位:円) 収  入 残  り
現在の所持金 \(+5000\) \(\boldsymbol{500}\)
今月のおこづかい \(+2000\) \(\boldsymbol{2500}\)
文房具 \(-500\) \(\boldsymbol{2000}\)
お菓子 \(-300\) \(\boldsymbol{1700}\)
\(-1000\) \(\boldsymbol{700}\)

この表の収入のところに書いてある正の符号〈\(+\)〉や負の符号〈\(-\)〉で表した数について、

・「プラスの数」
 手元のお金や新たにもらったお金だから収入
・「マイナスの数」
 文房具やお菓子を買うのに使ったお金だから支出

という意味になります。しかし、「収入」の項目のところにあっても、「\(-350\) 円」のように表現されれば、「支出」を表します。 このように、反対の性質の数量を、正の符号〈\(+\)〉負の符号〈\(-\)〉を使って表すことができます。

基準との違い

学校で、「数学の \(1\) 学期の期末テストは、中間テストよりもプラス \(\boldsymbol{10}\) 点だった」とか「マイナス \(\boldsymbol{5}\) 点だった」 などとよく言います。たとえば、数学の中間テストが \(65\) 点に対して、期末テストが \(75\) 点であるならば、 \[75-65=10\] で \(10\) 点高くなるので、「プラス \(10\) 点」ということができ、\(\boldsymbol{60}\) 点だったとすれば、 \[60-65=-5\] で \(5\) 点低くなるので、「マイナス \(\boldsymbol{5}\) 点」ということができます。 このように、「\(1\) 学期の中間テスト」など、あるものを基準にしてそれよりも数量が大きい、小さいを正の符号〈\(+\)〉負の符号〈\(-\)〉を用いて表現することができます。

下の表は、\(A,\;B,\;C,\;D,\;E\) の \(5\) 人の体重を、\(50kg\) を基準にして正負の数で表したものです。

生徒名 \(A\) \(B\) \(C\) \(D\) \(E\)
体重\(\small{(kg)}\) \(+2\) \(-1\) \(-4\) \(+5\) \(-3\)

この場合、各生徒の基準との差を \(50kg\) に加えます \begin{eqnarray} & &A\\[5px] & &50+(+2)=50+2\\[5px] & &\;=\boldsymbol{\color{blue}{52}}\\[10px] & &B\\[5px] & &50+(-1)=50-1\\[5px] & &\;=\boldsymbol{\color{blue}{49}}\\[10px] & &C\\[5px] & &50+(-4)=50-4\\[5px] & &\;=\boldsymbol{\color{blue}{46}}\\[10px] & &D\\[5px] & &50+(+5)=50+5\\[5px] & &\;=\boldsymbol{\color{blue}{55}}\\[10px] & &E\\[5px] & &50+(-3)=50-3\\[5px] & &\;=\boldsymbol{\color{blue}{47}} \end{eqnarray}

生徒名 \(A\) \(B\) \(C\) \(D\) \(E\)
体重\(\small{(kg)}\) \(+2\) \(-1\) \(-4\) \(+5\) \(-3\)
体重\(\small{(kg)}\) \(\color{blue}{52}\) \(\color{blue}{49}\) \(\color{blue}{46}\) \(\color{blue}{55}\) \(\color{blue}{47}\)

絶対値(ぜったいち)

下の数直線上の点 \(A\) と \(B\) を見てください。

\(A\) は負の数、\(B\) は正の数ですが、数直線で見ると、どちらの数も原点 [\(\boldsymbol{\color{blue}{=0}}\)] から \(4\) つの距離と同じになることがわかります。 数直線上で、ある数を表す点と原点「\(0\) の点」との距離をその数の絶対値といいます。この場合、 原点からの距離が 「\(\boldsymbol{4}\)」 である数は原点を中心として、その両側正の方向と負の方向)にあり、

\begin{eqnarray} & &+4 の絶対値 → \boldsymbol{4}\\[5px] & &-4 の絶対値 → \boldsymbol{4} \end{eqnarray} これを記号を用いて表すと、 \begin{eqnarray} & &\boldsymbol{\color{darkblue}{|+4|=4}}\\[5px] & &\boldsymbol{\color{darkblue}{|-4|=4}} \end{eqnarray} となります。「絶対値は原点からの距離」 を表すものであるから、絶対値は決して負の値にはならないことを覚えておきましょう。

数の大小

たとえば、\(2\) つの数〈\(a\)〉と〈\(b\)〉の大きさが等しいとき、式はイコール〈\(=\)〉 等号を用いて表すことができます。 一方、どちらかが大きいか小さい場合には、不等号「\(\;\lt\;\)」 「\(\;\gt\;\)」を使います。 等号、不等号の形は、次のような関係からきていると考えられます。

\(\boldsymbol{a}\) と \(\boldsymbol{b}\) は等しい \[\large{→\;\boldsymbol{\color{blue}{a=b}}}\]

\(\boldsymbol{a}\) は \(\boldsymbol{b}\) より小さい \[\large{→\;\boldsymbol{\color{blue}{a \lt b}}}\]

\(\boldsymbol{a}\) は \(\boldsymbol{b}\) より大きい \[\large{→\;\boldsymbol{\color{blue}{a \gt b}}}\]

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