正負の数:加法と減法
整数に、正の数や負の数を足したり引いたりする場合、数直線を利用して、計算するときの数の動きを理解します。整数に正の数を足す・引く
数直線を見ながら、下の数式を考えてみましょう。\((1)\quad 5+3\) | \((2)\quad 5-3\) |
\((3)\quad (-3)+6\) | \((4)\quad 3-6\) |
\(\boldsymbol{5}\) の点から \(\boldsymbol{3}\) つ正の方向に移動して \(\boldsymbol{8}\) に進む |
\(\boldsymbol{5}\) の点から \(\boldsymbol{3}\) つ負の方向に移動して \(\boldsymbol{2}\) に進む |
―― 負の数〈\(-3\)〉に正の数〈\(6\)〉を足す
\(\boldsymbol{-3}\) の点から \(\boldsymbol{6}\) つ正の方向に移動して \(\boldsymbol{3}\) に進む |
―― 正の数 \(3\) から正の数 \(6\) を引く
\(\boldsymbol{3}\) の点から \(\boldsymbol{6}\) つ負の方向に移動して \(\boldsymbol{-3}\) に進む |
整数\(+\)正の数 | =整数を正の方向に加えた数だけ移動させる |
---|
整数\(-\)正の数 | =整数を負の方向に引いた数だけ移動させる |
---|
整数に負の数を足す・引く
次に、負の数を加えたり減じたりするとどうなるかを考えます。\((1)\quad 4+(-7)\) | \((2)\quad (-4)-(-7)\) |
―― 正の数 \(4\) に負の数 \((-7)\) を足す 前に習った「反対の性質の数量は正負の符号を用いて表現できる」 から、
\(\boldsymbol{4}\) に \(\boldsymbol{-7}\) を足す | \(=\) \(\boldsymbol{4}\) から \(\boldsymbol{7}\) を引く |
―― 負の数 \(-4\) から負の数 \((-7)\) を引く
\(\boldsymbol{-4}\) から \(\boldsymbol{-7}\) を引く | \(=\) \(\boldsymbol{-4}\) に \(\boldsymbol{7}\) を加える |
整数\(+\)負の数 | =整数を負の方向に加えた数だけ移動させる |
---|
整数\(-\)負の数 | =[\(-\)負の数]を[\(+\)正の数]に変えて、整数をその分だけ正の方向に移動させる |
---|
\(\boldsymbol{2}\) 数の和
数の足し算は、数を(加)える計算方(法)という意味から( )内のことばを抜き出して 加法(かほう)といい、 加法で得られた答えのことを「和」といいます。 一方、引き算は、数を(減)じる計算方(法)から、 減法(げんぽう)といい、 その答えを「差」といいます。また、加法と減法を合わせて「加減」ともいいます。 次の式の和を求めましょう。\((1)\quad(+1)+(+4)\) | \((2)\quad(-1)+(-4)\) |
\((3)\quad(-1)+(+4)\) | \((4)\quad(+1)+(-4)\) |
―― 正の数 \(1\) に正の数 \(4\) を加える
よって、 \[\boldsymbol{\color{blue}{(+1)+(+4)=+5}}\] \(\boldsymbol{(2)\quad (-1)+(-4)}\)
―― 負の数 \(-1\) に負の数 \(-4\) を加える
よって、 \[\boldsymbol{\color{blue}{(-1)+(-4)=-5}}\] ・\((1)\) と \((2)\) の計算でわかること
\(2\) 数の符号が同じものの和はその符号と同じになります。
正の符号[\(\;+\;\)] の \(\boldsymbol{2}\) 数の和 | \(\;=\;\)正の符号の数 |
負の符号[\(\;-\;\)] の \(\boldsymbol{2}\) 数の和 | \(\;=\;\)負の符号の数 |
同符号の \(\boldsymbol{2}\) 数の和は | \(\boldsymbol{2}\) 数の絶対値の和 | にその符号をつけて表す |
―― 負の数 \((-1)\) に正の数 \(+4\) を加える
―― 正の数 \(1\) に負の数 \(-4\) を加える
異なる符号の \(2\) 数の加法では、足される数が正の数でも負の数でも、原点から最初に移動した 数の方向と反対方向に足す数が移動することで、足される数が足す数に飲み込まれ、打ち消された形になっています。 そして、移動した \(2\) 数のうちで、一方を打ち消した方の数の符号が「 \(2\) 数の和」につくことになります。つまり、
異符号の \(\boldsymbol{2}\) 数の和は | \(\boldsymbol{2}\) 数の絶対値の差になり | 絶対値の大きい方の符号がつく |
\(\boldsymbol{2}\) 数の差
\(2\) 数の差を求めるルールを定めるために、次の計算をしてみましょう。\((1)\quad 2-(-2)\) | \((2)\quad 3-5\) |
―― \(2\) から \(-2\) を引く
「反対の性質」を利用して、
「\(2\) に \(+2\) を足す」 |
―― \(3\) から \(+5\) を引く
数直線上では、\(3\) に \(-5\) を加える となります。これを「異符号の \(2\) 数の和」のルールに従って、 \begin{eqnarray} 3-5&=&3+(-5)\\[5px] &=&\color{blue}{-(5-3)}\\[5px] &=&\boldsymbol{-2}\;\small{\text{ … 答え}} \end{eqnarray} 減法は加法に直すことで、「 \(2\) 数の和」のルールを使って計算できます。
少数、分数を含む加法・減法
少数や分数を含む式においても、・同符号の \(\boldsymbol{2}\) 数の和 | \(=\) その符号の \(\boldsymbol{2}\) 数の絶対値の和 |
・異符号の \(\boldsymbol{2}\) 数の和 | \(=\) \(\boldsymbol{2}\) 数の絶対値の差に大きい方の絶対値の符号をつける |
式の項
\(4+(-5)\) や、\(4-(-5)\) では、〈\(\;+\;\)〉や〈\(\;-\;\)〉の記号で結ばれた数や文字をその式の 項(こう)といいます。 また、上の式の \(4\) を正の項、\(-5\) を負の項といいます。「項」は、式などを構成する要素という意味を表します。 ・計算上の注意点\(4+(-5)\) のような式の場合、( )を省略すると \(4+-5\) のように、〈\(\;+\;\)〉と〈\(\;-\;\)〉のどちらが加減を 表す記号で、どちらが正負を表す記号なのかまぎらわしくなるので、このような式の場合は( )を省略できません。 一方、 (-4)+5 のような式では、 \[\large{-4+5}\] と( )を省略しても式の意味が理解できるので、省略しても問題ありません。