正負の数:乗法と除法
正の数と負の数の乗法・除法では、符号が同じ \(2\) 数の積と商は正の数になり、符号が異なる \(2\) 数の積と商は負の数になります。よって、計算するときには、はじめに \(2\) 数の符号を確認して 同符号なら正、異符号なら負の値にします。整数に正の数を乗じる(掛ける)
数直線を見ながら次の数式を考えてみましょう。\((1)\quad(+2) \times (+4)\) | \((2)\quad(-2) \times (+4)\) |
整数に負の数を乗じる(掛ける)
次の \(2\) つの式を計算してみましょう。\((1)\quad(+2) \times (-4)\) | \((2)\quad(-2) \times (-4)\) |
\(\boldsymbol{2}\) を \(\boldsymbol{4}\) 回減らす (=引く) |
\(\boldsymbol{-2}\) を \(\boldsymbol{4}\) 回減らす (=引く) | \(=\) 「\(\boldsymbol{2}\) を \(\boldsymbol{4}\) 回加える (=足す) |
〈説 明〉 正の数 \(1\) と 負の数 \(-1\) の \(2\) 数について、 \[1+(-1)=0\;\small{\text{ ―― ①}}\] \(0\) にどんな数を掛けても答えは \(0\) になることを利用して、① の式の 両辺に \(-1\) を掛けます \begin{eqnarray} & &1 \color{red}{\times (-1)}+(-1) \color{red}{\times (-1)}\\[5px] & &\;=0 \times (-1)\\[5px] & &1 \times (-1)+(-1) \times (-1)=0\\[5px] & &\small{\text{分配法則を利用して}}\;\normalsize{→}\\[5px] & &\;=\{1+(-1)\}\color{red}{(-1)}=0\;\small{\text{―― ②}} \end{eqnarray} \(\small{②}\) の式の両辺に \(1\) を加えて、 \begin{eqnarray} & &{1+(-1)}(-1)+\boldsymbol{1}=0+\boldsymbol{1}\\[5px] & &1 \times (-1)+(-1) \times (-1)+1=1+0\\[5px] & &(-1)+1+(-1) \times (-1)=1\\[5px] & &\small{\text{よって、}}\\[5px] & &\boldsymbol{\color{blue}{(-1) \times (-1)=1}} \end{eqnarray} このことから、負の数に負の数を掛けると正の数になることがわかります。
\(\boldsymbol{2}\) 数の積
掛け算は、数を〈乗〉ずる計算方〈法〉の意味から 乗法(じょうほう)といい、その答えを積(せき)といいます。一方、割り算は数を〈除〉する計算方〈法〉であるから、除法(じょほう)といい、その答えを商(しょう)といいます。
・足し算:数を加える計算方法 | \(=\) 加 法 |
・引き算:数を減じる計算方法 | \(=\) 減 法 |
・掛け算:数を乗じる計算方法 | \(=\) 乗 法 |
・割り算:数を除する計算方法 | \(=\) 除 法 |
乗法の計算ルール
加法・減法と同じく、計算のルールを使って数直線にたよらず、速くて正確な計算ができるように工夫します。数直線上で 見てきたように、\(2\) 数の乗法の計算では、・符号が同じ \(2\) 数の積は正の数になる |
・符号が異なる \(2\) 数の積は負の数になる |
・積の符号を決める |
・符号を取り除いた絶対値を計算する |
・ 求めた積に決定した符号をつける |
\((+\)の符号は省略可\()\) |
除 法
叙法 \((=\;\)割り算\()\) は、逆数の乗法に直して計算できます。たとえば、\(a\) と \(\cfrac{1}{a}\) の \(2\) 数があり、その積が \begin{eqnarray} & &\large{a \times \frac{1}{a}}\\[5px] & &\;\large{=\frac{a}{a}=\boldsymbol{1}} \end{eqnarray} となるとき\(\boldsymbol{a}\) の逆数は \(\boldsymbol{\cfrac{1}{a}}\) である |
逆 数 | \(2\) 数の積が \(1\) になるとき、一方に対するもう一方の数を逆数という。分子と分母を〈逆〉にした〈数〉だから逆数と覚える |
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「ある数で割ること」 | \(=\) 「ある数の逆数を掛けること」 |
(正の数)\(\div\)(正の数)\(=\)(正の数) |
\(2\) 数の積が負の数の場合の式は
(正の数)\(\times\)(負の数)\(=\)(負の数) |
(負の数)\(\times\)(正の数)\(=\)(負の数) |
(負の数)\(\div\)(負の数)\(=\)(正の数) |
(負の数)\(\div\)(正の数)\(=\)(負の数) |
\(→\;(\quad)=8 \div (-2)\)
同じく叙法を逆数の掛け算に直すと、 \[\boldsymbol{8 \times (-2)=-4}\] よって、
(正の数)\(\div\)(負の数)\(=\)(負の数) |
・符号が同じ \(\boldsymbol{2}\) 数の積は正の数になる |
・符号が異なる \(\boldsymbol{2}\) 数の積は負の数になる |
小数や分数の乗法・除法
小数や分数を含む乗法や除法も、整数の場合と同じく、・積(商)の符号を決める |
・符号を取り除いた絶対値を計算する |
・求めた積(商)に決定した符号をつける |
\((+\)の符号は省略可\()\) |
乗法の交換法則・結合法則
加法のと同じく、乗法についても交換法則、結合法則を利用できます。 乗法の交換法則 \begin{eqnarray} & &(+3) \times (+4)=+(3 \times 4)\\[5px] & &=+12\\[5px] & &(+4) \times (+3)=+(4 \times 3)\\[5px] & &=+12\\[5px] & &\boldsymbol{∴\quad \color{blue}{(+3) \times (+4)=(+4) \times (+3)}}\\[10px] & &(+3) \times (-4)=-(3 \times 4)\\[5px] & &=-12\\[5px] & &(-4) \times (+3)=-(4 \times 3)\\[5px] & &=-12\\[5px] & &\boldsymbol{∴\quad \color{blue}{(+3) \times (-4)=(-4) \times (+3)}} \end{eqnarray} より、計算の順序をかえても「積」は同じなので「乗法の交換法則」が成り立ちます。 乗法の結合法則掛け算(乗法)だけの式であれば、 \[(2 \times 3) \times 4=2 \times (3 \times 4)\] のように 掛ける項の組み合わせを変えてもその積は同じなので、「乗法の結合法則」が成り立ちます。 この場合、正の数だけでなく負の数を含んだ式にも言えます。 \begin{eqnarray} & &\{2 \times (-3)\} \times 4\\[5px] & &\;=\color{blue}{-(2 \times 3)} \times 4\\[5px] & &\;=-6 \times 4\\[5px] & &\;=\boldsymbol{-24}\\[12px] & &2 \times \{(-3) \times 4\}\\[5px] & &\;=2 \times \color{blue}{-(3 \times 4)}\\[5px] & &\;=2 \times (-12)\\[5px] & &\;=\boldsymbol{-24} \end{eqnarray}
累 乗
乗法(掛け算)は、同じ数を何回かくり返し加える(足す)計算方法です。 一方、同じ数を何回かくり返し掛け合わせる計算方法を、その数の累乗(るいじょう)といいます。 \[\large{2 \times 2=\boldsymbol{\color{blue}{2^2}}}\] は、\(\boldsymbol{2}\) の \(\boldsymbol{2}\) 乗 |
\(\boldsymbol{2}\) の \(\boldsymbol{3}\) 乗 |