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資料の整理と活用

与えられた資料を整理して傾向を読み取り、説明できるようにするのに度数分布表ヒストグラムを利用します。

資料の散らばりと代表値 主な学習のポイント
・資料の整理とその活用法について
・代表値について
・近似値や有効数字をマスターする
この項目についてお聞きになりたいことは、 「*ご質問・お問わせ」からお願いします

資料の整理

下に記した数字は、生徒たちの身長を測定したときの結果を表したものです。

\(151.4\) \(148.0\) \(141.2\) \(153.1\) \(157.0\) \(149.8\) \(136.7\) \(163.5\) \(143.3\)
\(168.7\) \(149.3\) \(143.6\) \(142.9\) \(145.3\) \(145.9\) \(142.4\) \(150.4\) \(147.9\)
\(144.8\) \(141.5\) \(153.2\) \(151.9\) \(147.5\) \(150.0\) \(158.8\) \(156.6\) \(146.7\)
\(145.0\) \(139.9\) \(148.7\) \(140.5\) \(151.3\) \(162.3\) \(147.7\) \(149.8\) \(157.7\)
\(152.5\) \(144.3\) \(145.7\) \(138.9\) \(164.8\) \(156.2\) \(150.8\) \(142.4\) \(147.3\)

「生徒たちの身長測定」の結果から、ここ数年間の中学生の成長度合いを知ることができますが、このように、何かの判断の材料となるものを資料(しりょう) といいます。 資料を整理するとき、分類しやすくするために数値をいくつかの等しい幅に区切ることがありますが、この区間のことを階級(かいきゅう)といい、 区間の数量的な広さ(\(=\)幅)のことを「階級の幅」、階級の真ん中の値を「階級値」といいます。 また、各階級の中に入る資料の個数をその階級の「度数」といい、度数の分布(ぶんぷ)を表す表を度数分布表といいます。

ことばの意味

・階 級 : 資料を分類するための等しい区間に分けたもの

・階級の幅 : 資料を分類するための区間(階級)の数量的な幅

・度 数 : 各階級に属する資料の個数

・度数分布表 : 資料を階級に分類し、各階級ごとの個数(度数)を表にしたもの

上の身長を表した資料をもとに、各区間階級)と人数度数)を度数分布表に表してみよう。

身 長 \((cm)\) 人 数 (人)
\(135\;\small{以上}\hspace{5px}\normalsize{\sim\hspace{5px}140}\;\small{未満}\)
\(140\hspace{5px}\sim\hspace{5px}145\)
\(145\hspace{5px}\sim\hspace{5px}150\)
\(150\hspace{5px}\sim\hspace{5px}155\)
\(155\hspace{5px}\sim\hspace{5px}160\)
\(160\hspace{5px}\sim\hspace{5px}165\)
\(165\hspace{5px}\sim\hspace{5px}170\)

この表の左側の「身長」を表す欄(らん)には、「\(135\) 以上\(\;\sim\;140\) 未満」のように示してありますが、これが資料(個々の身長の数値)を分類するために等しい区間に分けた階級です。この表は、「\(7\) つの階級」から成り、階級の幅は \(\boldsymbol{5cm}\) になります。 度数分布表を利用して資料を整理する場合、漏れなく、ダブらないように数えます。ばらばらな数値を数えるには、きちんと目印などをつけるような工夫をしましょう。次に、それぞれの階級に入る資料を整理します。

\(\small{①}\) \(\boldsymbol{135}\) 以上\(\;\sim\;\boldsymbol{140}\) 未満
 ―― ここに入る資料は、\(135.0\) を含みそれよりも大きく、\(140.0\) を含まずにそれよりも小さい数値 \begin{eqnarray} & &→\\[5px] & &\color{darkblue}{136.7,\;138.9,\;139.9} \end{eqnarray} したがって、この階級に属する資料の個数は「\(\boldsymbol{3}\)」となり、この分布表における度数は \(3\) であるといい、 \(135cm\) 以上 \(140cm\) 未満に属するのは「\(3\) 人」という意味になります。

\(\small{②}\) \(\boldsymbol{140}\) 以上\(\;\sim\;\boldsymbol{145}\) 未満
 ―― ここに入る資料は、\(140.0\) を含みそれよりも大きく、\(145.0\) を含まずにそれよりも小さい数値 \begin{eqnarray} & &→\\[5px] & &\color{darkblue}{140.5,\;141.2,\;141.5,\;142.4,\;142.4}\\[5px] & &\color{darkblue}{142.9,\;143.3,\;143.6,\;144.3,\;144.8} \end{eqnarray} したがって、この階級に属する資料の個数は「\(\boldsymbol{10}\)」となり、この分布表における度数は \(10\)で、 \(140cm\) 以上 \(145cm\) 未満に属するのは「 \(10\) 人」となります。

\(\small{③}\) \(\boldsymbol{145}\) 以上\(\;\sim\;\boldsymbol{150}\) 未満
 ―― ここに入る資料は、\(145.0\) を含みそれよりも大きく、 \(150.0\) を含まずにそれよりも小さい数値 \begin{eqnarray} & &→\\[5px] & &\color{darkblue}{145.0,\;145.3,\;145.7,\;145.9,\;146.7}\\[5px] & &\color{darkblue}{147.3,\;147.5,\;147.7,\;147.9,\;148.0}\\[5px] & &\color{darkblue}{148.7,\;149.3,\;149.8,\;149.8} \end{eqnarray} したがって、この階級に属する資料の個数は「\(\boldsymbol{14}\)」、この分布表における度数は \(14\) 、 \(145cm\) 以上 \(150cm\) 未満に属するのは「\(14\)人」になります。
\(\small{④}\) \(\boldsymbol{150}1\) 以上\(\;\sim\;\boldsymbol{155}\) 未満
 ―― ここに入る資料は、\(150.0\) を含みそれよりも大きく、\(155.0\) を含まずにそれよりも小さい数値 \begin{eqnarray} & &→\\[5px] & &\color{darkblue}{150.0,\;150.4,\;150.8,\;151.3,\;151.4}\\[5px] & &\color{darkblue}{151.9,\;152.5,\;153.1,\;153.2} \end{eqnarray} したがって、この階級に属する資料の個数は「\(\boldsymbol{9}\)」で、この分布表における度数は \(9\) 、 \(150cm\) 以上 \(155cm\) 未満に属するのは「 \(9\) 人」になります。

\(\small{⑤}\) \(\boldsymbol{155}\) 以上\(\;\sim\;\boldsymbol{160}\) 未満
 ―― ここに入る資料は、\(155.0\) を含みそれよりも大きく、\(160.0\) を含まずにそれよりも小さい数値 \[→\;\color{darkblue}{156.2,\;156.6,\;157.0,\;157.7,\;158.8}\] したがって、この階級に属する資料の個数は「\(\boldsymbol{5}\)」となり、この分布表における度数は「\(\boldsymbol{5}\)」、 \(155cm\) 以上 \(160cm\) 未満に属するのは「\(5\)人」になります。

\(\small{⑥}\) \(\boldsymbol{160}\) 以上\(\;\sim\;\boldsymbol{165}\) 未満
 ―― ここに入る資料は、\(160.0\) を含みそれよりも大きく、\(165.0\) を含まずにそれよりも小さい数値 \[→\;\color{darkblue}{162.3,\;163.5,\;164.8}\] したがって、この階級に属する資料の個数は「\(\boldsymbol{3}\)」となり、この分布表における度数は \(3\) 、 \(160cm\) 以上 \(165cm\) 未満に属するのは「\(3\) 人」になります。

\(\small{⑦}\) \(\boldsymbol{165}\) 以上\(\;\sim\;\boldsymbol{170}\) 未満
 ―― ここに入る資料は、\(165.0\) を含みそれよりも大きく、\(170.0\) を含まずにそれよりも小さい数値 \[→\;\color{darkblue}{168.7}\] したがって、この階級に属する資料の個数は「\(\boldsymbol{1}\)」で、この分布表における度数は「\(\boldsymbol{1}\)」、 \(165cm\) 以上 \(170cm\) 未満に属するのは「 \(3\) 人」になります。

ことばの意味

・「以 上」 : その数を含んでそれよりも大きい

・「以 下」 : その数を含んでそれよりも小さい

・「未 満」 : その数を含まずにそれよりも小さい

・「超える」 : その数を含まずにそれよりも大きい

度数分布表の度数\((=\)人数\()\) の欄に各階級ごとの度数を加えます。

身 長 \((cm)\) 人 数 (人)
\(135\;\small{以上}\hspace{5px}\normalsize{\sim\hspace{5px}140}\;\small{未満}\) \(3\)
\(140\hspace{5px}\sim\hspace{5px}145\) \(10\)
\(145\hspace{5px}\sim\hspace{5px}150\) \(14\)
\(150\hspace{5px}\sim\hspace{5px}155\) \(9\)
\(155\hspace{5px}\sim\hspace{5px}160\) \(5\)
\(160\hspace{5px}\sim\hspace{5px}165\) \(3\)
\(165\hspace{5px}\sim\hspace{5px}170\) \(1\)
\(45\)

ヒストグラム

度数分布表を利用すれば、資料の値がどのように分布しているのか分かりますが、表の代わりにグラフを用いると、 分布の様子が目で見てよりわかりやすくなります。資料の数値(階級)を横軸に、 度数をたて軸にとったグラフで表しますが、これをヒストグラム (柱状グラフ)といいます。 上の例題に用いた度数分布表をヒストグラムに表してみましょう。

ヒストグラムをつくる際、度数分布表をもとに階級を横にとり、度数をたて軸にとった長方形をつくるようにします。 また、横軸の目盛は階級の境界の数値にします。

また、ヒストグラムの各階級の度数を表す長方形の上の辺の中点を順に結んでできる折れ線を、「度数折れ線」といいます。 このとき、それぞれの長方形の上の辺の中点は、各階級の中央の値を表し、特に「階級値」といいます。 つまり、度数折れ線は各階級の階級値を結ぶ線になります。

度数分布表に階級値のらんを設けると次のようになります。

身 長 \((cm)\) 階級値 人 数 (人)
\(135\;\small{以上}\hspace{5px}\normalsize{\sim\hspace{5px}140}\;\small{未満}\) \(137.5\) \(3\)
\(140\hspace{5px}\sim\hspace{5px}145\) \(142.5\) \(10\)
\(145\hspace{5px}\sim\hspace{5px}150\) \(147.5\) \(14\)
\(150\hspace{5px}\sim\hspace{5px}155\) \(152.5\) \(9\)
\(155\hspace{5px}\sim\hspace{5px}160\) \(157.5\) \(5\)
\(160\hspace{5px}\sim\hspace{5px}165\) \(162.5\) \(3\)
\(165\hspace{5px}\sim\hspace{5px}170\) \(167.5\) \(1\)
\(45\)

度数折れ線は、横軸の階級を \(\boldsymbol{x}\) 軸、縦軸の度数を \(\boldsymbol{y}\) 軸とする座標と考え、

\((\)階級値 \(\boldsymbol{x},\hspace{10px}\)度数 \(\boldsymbol{y})\)

という座標点を表す形にします。上の度数分布表では、

\((137.5,\hspace{7px}3)\hspace{5px}\hspace{12px}(142.5,\hspace{7px}10)\)
\((147.5,\hspace{7px}14)\hspace{5px}\hspace{12px}(152.5,\hspace{7px}9)\)
\((157.5,\hspace{7px}5)\hspace{5px}\hspace{12px}(162.5,\hspace{7px}3)\)
\((167.5,\hspace{7px}1)\)

これらの点を折れ線で結んで度数折れ線をつくります。ただし、折れ線の両端が横軸と交わるようにするために、 わざと左端には「\(130\) 以上\(\;\sim\;135\) 未満」、右端には「\(170\) 以上\(\;\sim\;175\) 未満」という階級を設けて、それぞれ \(2\) 点

\((132.5,\hspace{7px}0)\) と \((172.5,\hspace{7px}0)\)

を追加します。

相対度数

度数分布表において、ある階級の度数の度数の合計に対する割合を、 その階級の相対度数(そうたいどすう)といい、

相対度数 \(=\; \cfrac{\mathbf{ある階級の度数}}{\mathbf{度数の合計}}\)

という式で表します。

身 長 \((cm)\) 人 数 (人) 相対度数
\(135\;\small{\text{以上}}\hspace{5px}\normalsize{\sim\hspace{5px}140}\;\small{\text{未満}}\) \(3\)
\(140\hspace{5px}\sim\hspace{5px}145\) \(10\)
\(145\hspace{5px}\sim\hspace{5px}150\) \(14\)
\(150\hspace{5px}\sim\hspace{5px}155\) \(9\)
\(155\hspace{5px}\sim\hspace{5px}160\) \(5\)
\(160\hspace{5px}\sim\hspace{5px}165\) \(3\)
\(165\hspace{5px}\sim\hspace{5px}170\) \(1\)
\(45\)

上の度数分布表について、各階級の相対度数を求めてみましょう。度数の合計は「\(\boldsymbol{45}\)」ですから、 それぞれの階級の相対度数は、上の公式により、

〈\(\boldsymbol{135}\) 以上\(\;\sim\;\boldsymbol{140}\) 未満〉 \[\cfrac{3}{45}=\cfrac{1}{15}=0.0666 …\]

〈\(\boldsymbol{140}\) 以上\(\;\sim\;\boldsymbol{145}\) 未満〉 \[\cfrac{10}{45}=\cfrac{2}{9}=0.222 …\]

〈\(\boldsymbol{145}\) 以上\(\;\sim\;\boldsymbol{150}\) 未満〉 \[\cfrac{14}{45}=0.3111 …\]

〈\(\boldsymbol{150}\) 以上\(\;\sim\;\boldsymbol{155}\) 未満〉 \[\cfrac{9}{45}=\cfrac{1}{5}=0.2\]

〈\(\boldsymbol{155}\) 以上\(\;\sim\;\boldsymbol{160}\) 未満〉 \[\cfrac{5}{45}=\cfrac{1}{9}=0.111 …\]

〈\(\boldsymbol{160}\) 以上\(\;\sim\;\boldsymbol{165}\) 未満〉 \[\cfrac{3}{45}=\cfrac{1}{15}=0.0666 …\]

〈\(\boldsymbol{165}\) 以上\(\;\sim\;\boldsymbol{170}\) 未満〉 \[\cfrac{1}{45}=0.0222 …\] 指定がない場合は、割り切れない相対度数は四捨五入して適当なケタ数にそろえますが、 ふつう、小数点以下第 \(3\) 位を四捨五入して第 \(2\) 位までで表します。

身 長 \((cm)\) 人 数 (人) 相対度数
\(135\;\small{\text{以上}}\hspace{5px}\normalsize{\sim\hspace{5px}140}\;\small{\text{未満}}\) \(3\) \(0.07\)
\(140\hspace{5px}\sim\hspace{5px}145\) \(10\) \(0.22\)
\(145\hspace{5px}\sim\hspace{5px}150\) \(14\) \(0.31\)
\(150\hspace{5px}\sim\hspace{5px}155\) \(9\) \(0.20\)
\(155\hspace{5px}\sim\hspace{5px}160\) \(5\) \(0.11\)
\(160\hspace{5px}\sim\hspace{5px}165\) \(3\) \(0.07\)
\(165\hspace{5px}\sim\hspace{5px}170\) \(1\) \(0.02\)
\(45\) \(1.00\)

相対度数の合計が「\(\boldsymbol{1}\)」になるように相対度数を四捨五入して調整します。 また、次のように相対度数だけを表したものを 「相対分布表」 といいます

階 級 \((cm)\) 相対度数 \((\)%\()\)
\(135\;\small{\text{以上}}\hspace{5px}\normalsize{\sim\hspace{5px}140}\;\small{\text{未満}}\) \(7\)
\(140\hspace{5px}\sim\hspace{5px}145\) \(22\)
\(145\hspace{5px}\sim\hspace{5px}150\) \(31\)
\(150\hspace{5px}\sim\hspace{5px}155\) \(20\)
\(155\hspace{5px}\sim\hspace{5px}160\) \(11\)
\(160\hspace{5px}\sim\hspace{5px}165\) \(7\)
\(165\hspace{5px}\sim\hspace{5px}170\) \(2\)
\(100\)

相対度数は、百分率でも表せます。たとえば、 「\(160\) 以上\(\;\sim\;165\) 未満」の階級に入る人は全体のおよそ \(0.07\) 倍だから、相対度数は、   \[0.07 \times 100=\boldsymbol{7}\;(\text{%})\] になります。

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