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\(\boldsymbol{1}\) 次関数

比例と反比例から、直線、放物線へと関数についての学習は\(3\)年間に渡る重要な項目です。入試には必ず出題されますので、基礎からしっかり理解しておくことが大切です。

 
\(\boldsymbol{1}\) 次関数 主な学習のポイント
・関数の意味や、数量関係を関数に表す方法
・\(\boldsymbol{1}\) 次関数の式の求め方について
・\(\boldsymbol{1}\) 次関数の文章問題の解き方
この項目についてお聞きになりたいことは、 「*ご質問・お問わせ」からお願いします

\(\boldsymbol{1}\) 次関数とは

\(2\) つの変数 \(\boldsymbol{x,\;y}\) があり、\(x\) の値が決まると \(y\) の値がただ\(1\)つに決まるとき、「\(\boldsymbol{y}\) は \(\boldsymbol{x}\) の関数である」といい、\(y=ax+b\) のように、右辺が 「\(x\) の \(1\) 次式」で表されるとき、 「 \(\boldsymbol{y}\) は \(\boldsymbol{x}\) の \(\boldsymbol{1}\) 次関数」といいます。 このとき、\(a,\;b\) は定数であり \(\color{blue}{a ≠ 0}\) という条件がつきます。また、\(1\) 次関数のうち、\(y=ax\) のような形のものを「比例」といいます。

\(1\) 次関数は \(y\) を \(x\) の \(1\) 次式で表せる関数
\(\boldsymbol{\color{blue}{y=ax+b}}\) (ただし、\(a,\;b\) は定数)

文章を数式にする

身の回りの事柄で、「\(y\) が \(x\) の \(1\) 次関数」にあたるものを取り上げてみましょう。次の文の中で、\(y\) がxの \(1\) 次関数であるものを求めましょう。

\(\small{①}\) \(\boldsymbol{50}\) 円はがきを \(\boldsymbol{x}\) 枚買って、\(\boldsymbol{1000}\)円を支払ったときのおつりが \(\boldsymbol{y}\) 円である
\(\small{②}\) 底辺が \(\boldsymbol{x\;cm}\)、高さが \(\boldsymbol{y\;cm}\) の三角形の面積は \(\boldsymbol{30cm^2}\) である
\(\small{③}\) \(\boldsymbol{1}\) 辺が \(\boldsymbol{x\;cm}\) である正方形の周の長さは \(\boldsymbol{y\;cm}\) である

これらの日本語を数式に直して、\(y=ax+b\) の形になれば 「\(y\) は \(x\) の\(1\)次関数」になります。

\(\boldsymbol{50\times x=50x}\) (円)
\(1000\)円を支払ったときのおつりは
\(=1000-50x\) (円) から
\(\boldsymbol{y=1000-50x}\)
\(\boldsymbol{\color{blue}{y=-50x+1000}}\)

よって、\(y\) は \(x\) の\(1\) 次関数になります。

\(\small{②}\) 三角形の面積 \(=\boldsymbol{\cfrac{1}{2}}\times\) 底 辺 \(=\) 高 さ より、

\(15=\cfrac{1}{2} \times x \times y\)
\(=\cfrac{1}{2}xy\)
\(=\cfrac{1}{2}xy=15\)
\(y=15 \times \cfrac{2}{x}\)
\(\boldsymbol{\color{blue}{y=\cfrac{30}{x}}}\)

この場合、\(y=ax+b\) の形にならないので \(y\) は \(x\) の \(1\) 次関数ではありません。ただし、この式は反比例の式であり、\(y\) は \(x\) に反比例するといいます。

\(\small{③}\) 正方形は \(\boldsymbol{4}\) 辺の長さは等しい

周の長さ\(=\) \(\boldsymbol{1}\) 辺の長さ \(\boldsymbol{\times 4}\) より
\(\boldsymbol{\color{blue}{y=4x}}\)

\(y=ax+b\) の \(\boldsymbol{b}\) のない形で、\(y\) は \(x\) の\(\boldsymbol{1}\)次関数になります。 この場合、\(y=ax\) という比例式になるので、\(y\) は \(x\) に比例する。このことから、\(y\) が \(x\) の \(1\) 次関数となるのは ①③ ということになる。

変化の割合

\(y\) が \(x\) の関数であるとき、\(x\) の値がもとの値から変化することを \(x\) の増加量といい、\(y\) の値がもとの値から変化することを \(y\) の増加量といいます。また、\(x\) の増加量に対する \(y\) の増加量の割合を「変化の割合」といいます。\(y\) が \(x\) の関数であるとき、\(y\) の値の変化後の値と変化前の値の差を \(x\) の増加量といい、 \(y\) の値の変化後の値と変化前の値の差を \(y\) の増加量といいます。さらに、\(x\) の増加量に対する \(y\) の増加量の割合を関数における「変化の割合」といいます。

増加量 \(=\;(\)変化の値\()-(\)変化の値\()\)

「割合」は、「もとの数の何倍か」を表すことから、変化の割合も

\(\boldsymbol{y}\) の増加量は \(\boldsymbol{x}\) の増加量の何倍か

を表しており、 \[\mathbf{変化の割合}\;=\;\cfrac{\boldsymbol{y}\;\mathbf{の増加量}}{\boldsymbol{x}\;\mathbf{の増加量}}\]

の式で求めることができます。次の \(1\) 次関数において、\(x\) の値が \(1\) から \(4\) まで増加するときの変化の割合を求めてみましょう。

ア \(y=2x-4\) イ \(y=-2x+3\)

ア \(y=2x-4\) において、\(x=1\) のとき \(y\) の値は \begin{eqnarray} y &=& 2 \times 1-4\\ &=& 2-4\\ &=& -2 \end{eqnarray} \(x=4\) のとき \(y\) の値は \begin{eqnarray} y &=& 2 \times 4-4\\ &=& 8-4\\ &=& 4 \end{eqnarray} \(x\) において、変化前の値は「\(1\)」、変化後の値は「\(4\)」 よって、 \begin{eqnarray} & &x\;\small{の増加量}\\ & & =4-1\\ & &=3 \end{eqnarray} 一方、\(y\) において、変化前の値が「\(-2\)」、変化後の値が「\(4\)」 よって、 \begin{eqnarray} & & y\; \small{の増加量}\\ & &=4-(-2)\\ & &=4+2\\ & &=6 \end{eqnarray} この関係を上の式に当てはめると、

\begin{eqnarray} \small{変化の割合} &=&\normalsize{\frac{(4)-(-2)}{(4)-(1)}}\\[7px] &=&\frac{6}{3}\\[7px] &=&\boldsymbol{2} \end{eqnarray}

イ \(y=-2x+3\) において、\(x=1\) のとき \(y\) の値は \begin{eqnarray} y &=& -2 \times 1+3\\ &=& -2+3\\ &=& 1\\[12px] x &=& 4\; \small{のとき}\\ y &=& -2 \times 4+3\\ &=& -8+3\\ &=& -5 \end{eqnarray}

この関係を式に当てはめて、

\begin{eqnarray} \small{変化の割合} &=&\normalsize{\frac{(-5)-(1)}{(4)-(1)}}\\[7px] &=&\frac{-6}{3}\\[7px] &=&\boldsymbol{-2} \end{eqnarray}

この結果から、

\(y=2x-4\) の変化の割合 \(→\;\boldsymbol{\color{blue}{2}}\)
\(y=-2x+3\) の変化の割合 \(→\;\boldsymbol{\color{blue}{-2}}\)

のように、関数における「\(\boldsymbol{x}\) の係数」と「変化の割合」が一致します。 上の例において、\(1\) 次関数 \(y=2x-4\) の変化の割合は「\(\boldsymbol{2}\)」だから、 \(x=3\) のとき \(2 \times 3=6\) より、\(y\) の増加量は「\(\boldsymbol{6}\)」になります。 このように、\(1\) 次関数 \(y=ax+b\) では、\(x\) の増加量にかかわらず、常に \begin{eqnarray} \mathbf{変化の割合}\;&=&\;\cfrac{\boldsymbol{y}\;\mathbf{の増加量}}{\boldsymbol{x}\;\mathbf{の増加量}}\\[7px] &=&\color{red}{\boldsymbol{a}} \end{eqnarray}

と「一定」になります。

\(\boldsymbol{2}\) 点から変化の割合を求める

\(1\) 次関数 \(y=ax+b\) が、点 \((3,\hspace{10px}5)\) から点 \((5,\hspace{10px}11)\) まで変化したときの変化の割合を求めてみましょう。 この場合、変化前の座標が \(\boldsymbol{(3,\hspace{10px}5)}\) で、変化後の座標が \(\boldsymbol{(5,\hspace{10px}11)}\) ですから、\(x,\;y\) それぞれの増加量は \begin{eqnarray} x\;\small{の増加量}\;&=&\normalsize{5-3}\\ &=&\boldsymbol{2}\\[10px] y\;\small{の増加量}\;&=&\normalsize{11-5}\\ &=&\boldsymbol{6} \end{eqnarray}

となり、変化の割合は \(6 \div2=3\) になります。これを式で表すと
\begin{eqnarray} \mathbf{変化の割合}\;&=&\;\cfrac{11-5}{5-3}\\[7px] &=&\frac{6}{2}\\[7px] &=&\boldsymbol{3} \end{eqnarray}

次に、\(1\) 次関数 \(y=ax+b\) が点 \((2,\hspace{10px}-2)\) から点 \((5,\hspace{10px}-11)\) まで変化したときの変化の割合を求めます。 変化前の座標が \(\boldsymbol{(2,\hspace{10px}-2)}\) で、変化後の座標が \(\boldsymbol{(5,\hspace{10px}-11)}\) なので、\(x,y\) それぞれの増加量は \begin{eqnarray} x\;\small{の増加量}\;&=&\normalsize{5-2}\\ &=&\boldsymbol{3}\\[10px] y\;\small{の増加量}\;&=&\normalsize{-11-(-2)}\\ &=&-11+2\\ &=&\boldsymbol{-9} \end{eqnarray} よって、変化の割合は \(-9 \div 3=-3\) となり、これを式で表すと

\begin{eqnarray} \mathbf{変化の割合}\;&=&\;\cfrac{(-11)-(-3)}{5-3}\\[7px] &=&\frac{-11+2}{3}\\[7px] &=&\frac{-9}{3}\\[7px] &=&\boldsymbol{-3} \end{eqnarray}

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