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図形の合同と証明

一方の図形を他の図形へ移動したとき、形や大きさが全く同じでぴったり重なり合うことを合同(ごうどう)といいます。 合同な図形において、ぴったり重なり合う 頂点、角、辺 をそれぞれ、「対応する頂点」、「対応する角」、「対応する辺」といいます。合同な図形は、 お互いにぴったいり重なり合っているので、対応する辺の長さ、対応する角度はすべて等しくなります。

合同な図形の性質

合同な図形には、次のような性質があります。

合同な図形の性質
・対応する辺の長さは等しい
・対応する角度は等しい

\(2\) つの図形が合同であるとき、それを記号「\(≡\)」を用いて表します。 また、\(2\) つの合同な図形をぴったり重ね合わせるには

\(\small{①}\) そのまま平行移動する
\(\small{②}\) 回転移動する
\(\small{③}\) 対称移動する(\(=\) 裏返す)

という方法で行います。

上図はお互いに合同ですが、これを上の方法を用いてぴったり重なるように横に並べると、

となり、

\(AB=GF,\;BC=FE\) \(,\;CD=EH,\;DA=HG\)

のように各辺が対応します。そして、\(2\) つが合同であることを記号で表す場合、 四角形\(\boldsymbol{ABCD}\)の各頂点と対応する順に
四角形\(\boldsymbol{ABCD}\;≡\) 四角形\(\boldsymbol{GFEH}\)
と表現します。

三角形の合同条件

\(2\) つの図形が合同であるかどうかは、一方の図形を移動させて他方の図形に重ね合わせることで判断できます。 しかし、そうしなくても三角形の合同を判断するのに、以下の \(\boldsymbol{3}\) つの条件のうちどれか \(1\) つに当はめます。

三角形の合同条件

\(\boldsymbol{1)}\) \(\boldsymbol{3}\) 辺がそれぞれ等しい

\(\boldsymbol{2)}\) \(\boldsymbol{2}\) 辺とその間の角がそれぞれ等しい

\(\boldsymbol{3)}\) \(\boldsymbol{1}\) 辺とその両端の角がそれぞれ等しい

下の図において、合同な \(2\) つの三角形を見つけ記号で表しましょう。その際、\(2\) つの三角形が合同になる条件を述べましょう。

\(\boldsymbol{△ABC}\) と \(\boldsymbol{△GIH}\) において、

辺\(\boldsymbol{AB}=\) 辺\(\boldsymbol{GI=30\;cm}\)
辺\(\boldsymbol{CA}=\) 辺\(\boldsymbol{HG=18\;cm}\)
\(\boldsymbol{∠BAC=∠IGH=58^{\circ}}\)

三角形の合同条件:\(\boldsymbol{2}\)辺とその間の角がそれぞれ等しい が当てはまるので \[\color{blue}{\boldsymbol{△ABC≡△GIH}}\]

\(△ABC\) と \(△DFE\) においては、 \(\boldsymbol{2}\) 辺 \(\boldsymbol{AB=DF,\;BC=FE}\) ですが、その間の角がわからないのでこの条件が成り立ちません。 したがって、\(2\) つの三角形は合同ではありません。

三角形の合同証明

数学で、証明とは「与えられた命題が正しいことを明らかにすること」をいい、 図形の合同証明は、「仮定や図形の性質を根拠として \(2\) つの図形が合同であると結論づける」ことになります。

・ことばの意味

命 題(めいだい) :正しいかそうでないかを表す内容または課題

たとえば

\(\boldsymbol{2}\) は偶数である

のような表現

仮 定(かてい) :事実に関係なく「仮にそうだ」という内容(前もってわかっていること)

結 論(けつろん) :明らかにすべきこと(導こうとすることがら)

仮定」と「結論」についてわかりやすく述べると、「\(\boldsymbol{A}\) ならば \(\boldsymbol{B}\) である」という表現において

\(\boldsymbol{A}\) … 仮 定 \(\boldsymbol{B}\) … 結 論

になります。たとえば、「錯角が等しいならば、\(2\) つの直線は平行である」という命題では、

仮 定:錯角が等しい
結 論:\(\boldsymbol{2}\) つの直線は平行である

となります。この場合、「ならば」の前の部分が仮定の部分が結論と覚えましょう。 ただし、 仮定と結論だけを知っていても証明問題を解くことはできません。どうしてそうなるかという理由を説明したりすることも必要になります。

証明の仕方

\(2\) つの三角形が合同であることを証明するには、仮定や図形の性質を利用しながら、筋道を立ててわかりやすく結論を導き出します。

・証明の手順
\(\boldsymbol{1)}\) 証明すべき \(\boldsymbol{2}\) つの三角形を明らかにする
\(\boldsymbol{2)}\) 仮定や図形の性質を使い等しい角や辺を明示する
\(\boldsymbol{3)}\) 証明の際、どの合同条件を利用するか決める
\(\boldsymbol{4)}\) 結論を述べる

例 題:
下の図において、\(C\) は \(AD\) の中点で、\(∠BAC=∠EDC\) であるとき、\(△BAC ≡ △EDC\) であることを証明しましょう。

上の手順に従って、証明文を作成します。

証 明

\(\boldsymbol{1)}\)

\[\boldsymbol{△BAC}\; \small{と}\;\normalsize{\boldsymbol{△EDC}}\;\small{において}\]

\(\boldsymbol{2)}\) \begin{eqnarray} & &\small{点}\;\normalsize{\boldsymbol{C}}\;\small{は}\;\normalsize{\boldsymbol{AD}}\;\small{の中点}\\ & &\small{であるから、}\\ & &\boldsymbol{AC=DC}\;――\;\small{①}\\[12px] & &\small{同じく仮定より、}\\ & &\boldsymbol{∠BAC=∠EDC}\;――\;\small{②}\\[12px] & &\small{図において、対頂角は等しいので、}\\ & &\boldsymbol{∠ACB=∠DCE}\;――\;\small{③} \end{eqnarray}

\(\boldsymbol{3)}\)
\(\small{①}\;\sim\;\small{③}\) より、
\(\boldsymbol{1}\) 辺とその両端の角がそれぞれ等しい \(\boldsymbol{2}\) つの三角形は合同である

\(\boldsymbol{4)}\) \[\boldsymbol{\color{blue}{△BAC\;≡\;△EDC}}\] である … 証明終わり

文章にまとめる前に、図に証明すべき内容をかき入れて確認してから行うと分かりやすくなります。

合同な図形の性質を証明する

\(2\) つの三角形が合同であることを証明するほかに、合同な図形の対応する辺や角が等しいという性質を利用して、 特定の角度や線分の長さが等しいことを証明する問題もあります。この場合、最初に三角形の合同を証明します。

例 題:
下の図において、\(AB\) が \(∠CAD\) の二等分線であり、\(AC=AD\) ならば、\(CB=DB\) となることを証明しなさい。

\(CB,\;DB\) がそれぞれ \(△ABC\) と \(△ABD\) の \(\boldsymbol{1}\) 辺であり、この \(2\) つの三角形が合同であれば、\(\boldsymbol{CB=DB}\) が証明できます。

証 明

\(\boldsymbol{1)}\)

\[\boldsymbol{△ABC}\; \small{と}\; \normalsize{\boldsymbol{△ABD}}\;\small{において}\]

\(\boldsymbol{2)}\) \begin{eqnarray} & &\small{仮定より、}\\ & &\small{線分}\;\normalsize{AB}\;\small{は}\;\normalsize{∠CAB}\;\small{の二等分線}\\ & &\small{であるから、}\\ & &\boldsymbol{∠BAC=∠BAD}\;――\;\small{①}\\[12px] & &\small{同じく仮定より、}\\ & &\boldsymbol{AC=AD}\;――\;\small{②}\\[5px] & &\boldsymbol{AB=BA}\;――\;\small{③\;(\color{red}{共通の辺})} \end{eqnarray}

\(\boldsymbol{3)}\)
\(\small{①}\;\sim\;\small{③}\) より、
\(\boldsymbol{2}\) 辺とその間の角がそれぞれ等しい \(\boldsymbol{2}\) つの三角形は合同である

\(\boldsymbol{4)}\) \[\boldsymbol{△ABC\;≡\;△ABD}\] 合同な \(\boldsymbol{2}\) つの三角形の対応する辺の長さはすべて等しい
ので \[\boldsymbol{\color{blue}{CB=DB}}\] である … 証明終わり

証明の文章を作成するとき、上で示したように \(1)\)\;\sim\;4)\) の文を書く必要はありません。 証明の流れを理解するために頭の中にイメージしてください。

・ことばの意味

共 通 :辺や角がぴったり重なり合って一致している状態

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