>
場合の数
身の回りのことがらには、やり方が全部で何通りあるかを数えられるものがあります。そして、この「何通り」にあたることを、ことがらが起こりうる場合の数といいます。場合の数を求めるときには、すべての場合をもれなく数えるが必要で、そのための有効な方法として樹形図(じゅけいず)を用います。
確 率 主な学習のポイント
・確率の意味や考え方について |
・同様に確からしいとは \(\boldsymbol{?}\) |
・確率の求め方を学習する |
この項目についてお聞きになりたいことは、 「*ご質問・お問わせ」からお願いします |
何枚かの数字がかかれたカードを \(1\) 列に並べようとすると、並べ方には何通りか方法があるので、その中のある \(1\) つの並べ方を選ぶことがあります。また、
時間をかけて全部の並べ方を試すこともできます。
カードの並べ方のように、ある事柄の起こり方の総数は場合の数になります。
このとき、あることがらの起こりうる場合の数が全部で \(n\) 通りあることを、そのことがらの起こりうる場合の数は
\(\boldsymbol{n}\) 通りであるといいます。
今、手元に「\(1,\;2,\;3,\;4\)」の数のカードが \(4\) 枚あるとします。これらのカードの並べ方が全部で
\(\boldsymbol{n}\) 通りであり、はじめに「\(1\)」のカードがくる並べ方が \(\boldsymbol{a}\) 通りであるとき、
\(\boldsymbol{4}\) 枚のカードの並べ方のすべての場合の数 |
\(=\boldsymbol{\color{blue}{\large{n}}}\) |
\(\boldsymbol{1}\) のカードが最初にくる並べ方の場合の数 |
\(=\boldsymbol{\color{blue}{\large{a}}}\) |
のように使い分けます。ある事柄について起こりうる場合の数を正確に求めるには、すべての場合の数をもれなく、重複(ちょうふく)しないように数え上げなければならず、そのため表や図に表わします。その中で、あることがらの場合を枝分かれする樹木上の系統図(けいとうず)にかいた樹形図がよく使われます。
「\(\boldsymbol{A,\;B\;2}\) 枚のコインを投げて、表と裏の出方 |
が何通りあるか」 |
を見てみましょう。
この場合、\(A\) のコインの表が出るとき、\(B\) のコインは表か裏のどちらかになります。また、\(A\) のコインの裏
が出るときも、\(B\) のコインは表か裏のどちらかになります。この事柄を樹形図に表すと、次のようになります。
この図のように、表と裏の出方は
(表\(,\hspace{13px}\)表) (表\(,\hspace{13px}\)裏) |
(裏\(,\hspace{13px}\)表) (裏\(,\hspace{13px}\)裏) |
の \(4\) つの場合が考えられます。したがって、\(2\) 枚のコインを同時に投げて表と裏の出る場合の数は\(\boldsymbol{4}\) 通りです。
例題では、\(A\) のコインについては表と裏の \(2\) 通りで、\(A\) の出方のそれぞれについて\(B\) のコインも表と裏の \(2\) 通りずつになることから、
|
\(\boldsymbol{(A}\) のコインの出方:\(\boldsymbol{2}\) 通り\(\boldsymbol{)}\) |
\(\times\) |
\(\boldsymbol{(B}\) のコインの出方:\(\boldsymbol{2}\) 通り\(\boldsymbol{)}\) |
\(=\) |
\(\boldsymbol{\color{blue}{\large{4}}}\) 通り |
のような乗法(かけ算)を利用して場合の数を求める方法もあります。複数の事柄が同時起こる場合、
それぞれの場合の数を掛け合わせて求められることから「積の法則」といいます。
例 題
赤、青、黄、緑の \(4\) 色のカードのうち \(1\) 色のカードを \(1\) 列に並べる並べ方が何通りあるか求めましょう。
真ん中の色が青色 |
|
\(⇒\) \(\boldsymbol{1}\) 番右の色は黄、緑のうちどれか |
\(\boldsymbol{1}\) 番左の色が赤色 |
|
\(⇒\) 真ん中の色は青、黄、緑のうちどれか |
このことがらを樹形図に表すと、 \(\boldsymbol{6}\) 通りになります。
\(1\) 番左が青、黄、緑の樹形図の場合も同じく \(6\) 通りになるので、
すべての場合の数\(=24\) 通りであることがわかります。
樹形図より、
・\(\boldsymbol{1}\) 番左は赤、青、黄、緑の \(\boldsymbol{4}\) 通り:\(\boldsymbol{\color{crimson}{a}}\) |
・\(\boldsymbol{a}\) のそれぞれについて真ん中の色は \(\boldsymbol{3}\) 通り:\(\boldsymbol{\color{crimson}{b}}\) |
・\(\boldsymbol{a,\;b}\) のそれぞれについて \(\boldsymbol{1}\) 番右の色は \(\boldsymbol{2}\) 通り:\(\boldsymbol{\color{crimson}{c}}\) |
の並べ方があるので、かけ算を利用すれば
\begin{eqnarray}
& &a \times b \times c\\[5px]
& &\hspace{7px}=4 \times 3 \times 2\\[5px]
& &\hspace{7px}=\boldsymbol{24} \small{通り}
\end{eqnarray}
の式で求めることができます。場合の数を求めるとき、樹形図を使えばすべての場合をもれなく数えることができますが、
場合の数が多くなると、いちいち樹形図をかくには面倒になるので積の法則をうまく利用します。