受験生や独学する一般人のための学習サイト

標本調査

学校の健康診断や学力試験は、学校の生徒全員を対象とするので調査の対象となる全部のものについて調査する全数調査が適切であり、テレビの視聴率のように、対象者を選んで行う調査では標本調査が適切です。

標本調査 主な学習のポイント
・身の回りの調査、観察の仕方について
・標本調査の方法
・標本調査を利用した母集団の傾向推定
この項目についてお聞きになりたいことは、 「*ご質問・お問わせ」からお願いします

全数調査と標本調査

物事を調査や観察をするとき、対象となる物事全体のことを 母集団(ぼしゅうだん)といい、 調査するために母集団より選び出した一部分を標本(ひょうほん)といいます。 たとえば、「小学 \(\boldsymbol{5}\) 年生の男子の体重」を調査する場合、
母集団 小学 \(\boldsymbol{5}\) 年生の男子全員の体重
標 本 母集団より取り出した \(\boldsymbol{1}\) 人ひとりの体重

になります。この調査において、母集団のすべての資料を取り出して調べる調査方法を全数調査(ぜんすうちょうさ)といい、特定の標本 を選び出して母集団全体の性質を推定する調査方法を標本調査(ひょうほんちょうさ)といいます。
売り出す前の商品について、その性能を調査するという場合、その商品全部を調査すれば時間や費用、労力がかかりすぎ、実際に行うにはムリがあります。したがって、このような調査では全数調査よりも標本調査が適切です。一方、学校の健康診断のように個々の対象について調査が必要な場合は全数調査を行います。 ただし、標本調査をするときには対象全部を調査する必要がない反面、対象の選び方には注意が必要です。 調査をする商品の数が極端に少なかったり、その商品を取り出す場所が同じ場所だったりと、調査にかたよりがあってはいけません。サイコロや、くじびきといった方法でかたよりなく公平に、標本を取り出すことで人の意志がはたらかないようにします。このような標本の選び方 を無作為抽出法(むさくいちゅうしゅつほう)、または、無作為に抽出するといいます。

母集団を推定する

例 題

袋の中に、黒い碁石(ごいし)が入っている。この黒い碁石の個数を調査するために、白い碁石を\(100\) 個その袋に入れ、袋の中をよく混ぜ合わせて、その中から碁石をひとつかみ取り 出し、白と黒の碁石の個数を数えてからそれらをもとにもどす。 これを \(5\) 回くり返した結果を、下のような表に表した。このとき、 袋の中には黒い碁石が何個入っているかを推定しなさい。

回 数 \(1\) \(2\) \(3\) \(4\) \(5\)
白い碁石の数 \(2\) \(3\) \(2\) \(1\) \(3\)
黒い碁石の数 \(41\) \(39\) \(36\) \(44\) \(40\)

標本を取り出したときの個数のバランスと、母集団における個数のバランスは同じであると考えます。 つまり、標本を無作為に抽出したとき、標本における個数の比率は母集団における個数の比率と同じになります。 ただし、無作為に抽出したとしても、\(1\) 回だけの抽出では結果が適切かどうかの判断ができないので、複数回抽出します。 ここでは、\(5\) 回抽出して、その平均値を利用して母集団の性質を推定します。\(5\) 回抽出した結果、黒い碁石の平均個数は

\begin{eqnarray} & &黒い碁石の平均個数\\[7px] & &=\frac{41+39+36+44+40}{5}\\[7px] & &\frac{200}{5}=\boldsymbol{40}\\[13px] & &白い碁石の平均個数\\[7px] & &=\frac{2+3+2+1+3}{5}\\[7px] & &\frac{11}{5}=\boldsymbol{2.2} \end{eqnarray} となるので、その比率は

\begin{eqnarray} & &(白い碁石の個数):(黒い碁石の個数)\\[5px] & &=2.2:40\\[5px] & &=22:400\\[5px] & &=\boldsymbol{11:200} \end{eqnarray}

母集団においてもほぼ同じ比率と考えられるので、 袋の中に入っている黒い碁石の個数を \(\boldsymbol{x}\) とすると、 \begin{eqnarray} & &(白い碁石の個数):(黒い碁石の個数)\\[5px] & &=100:x\\[5px] & &=11:200\\[5px] & &11x=20000\\[5px] & &=\boldsymbol{x=1818.181} \end{eqnarray} この場合、端数はあまり関係がありません。

∴ 答 え 袋の中にはおよそ \(\boldsymbol{1800}\) 個の黒い碁石が入っている

例 題
ある工場では、1日にクッキーを \(200,000\) 枚製造する。このうち、\(200\) 枚のクッキーを無作為に抽出したとき、その中の \(1\) 枚が割れていた。 この工場で製造したクッキー \(200,000\) 枚のうち、およそ何枚が割れていたと推定できるか。

問題文より、\(1\) 日にクッキーを \(200,000\) 枚製造した中で割れているものの枚数を \(x\) とすると、割れているクッキーの全体との比率 は、

母集団において、 \begin{eqnarray} & &\small{(全クッキーの枚数):(割れてるクッキーの枚数)}\\[5px] & &=\boldsymbol{200,000:x}\;――\;1 \end{eqnarray}

標本において、 \begin{eqnarray} & &\small{(全クッキーの枚数):(割れてるクッキーの枚数)}\\[5px] & &=\boldsymbol{200:1}\;――\;2 \end{eqnarray}

標本を取り出したときの比率と母集団における比率は同じであると考えられるので、 \begin{eqnarray} & &200,000:x=200:1\\[5px] & &200x=200,000\\[5px] & &\boldsymbol{x=1000} \end{eqnarray} よって、

答 え およそ \(\boldsymbol{1000}\) 枚が割れていると推定できる

inserted by FC2 system