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展開・因数分解の利用

式の展開や因数分解を利用した入試問題には、複雑な式に数を代入するものや整数の性質や図形の性質を説明するものなどがあります。

計算への利用

例 題
次の計算をしなさい。 \[(1)\quad 46^2 \hspace{24px} (2)\quad 47 \times 33 \hspace{24px} (3)\quad 9.25^2 \times 0.75^2\]

\(\boldsymbol{(1)}\) \(\color{red}{46=40+6,\quad 50-4}\) のような形に変形します
\begin{eqnarray} & &46=40+6\;\small{のとき}\\[5px] & &(40+6)^2\\[5px] & &=40^2+2(40 \times 6)+6^2\\[5px] & &=1600+480+36\\[5px] & &=2080+36\\[5px] & &=\boldsymbol{2116}\\[12px] & &46=50-4\;\small{のとき}\\[5px] & &(50-4)^2\\[5px] & &=50^2-2(50 \times 4)+(-4)^2\\[5px] & &=2500-400+16\\[5px] & &=2100+16\\[5px] & &=\boldsymbol{2116}\;…\;答え \end{eqnarray} 和の平方、差の平方どちらを利用してもかまいませんが、計算しやすい方を選択します。

\(\boldsymbol{(2)}\) \(\color{red}{47=40+7,\quad 33=40-7}\) として和と差の積の展開を利用します。
\begin{eqnarray} & &47 \times 33\\[5px] & &=(40+7)(40-7)\\[5px] & &=40^2-7^2\\[5px] & &=1600-49\\[5px] & &=\boldsymbol{1551}\;…\;答え \end{eqnarray}

\(\boldsymbol{(3)}\) \(x^2-y^2=(x+y)(x-y)\;\)より、
\begin{eqnarray} & &9.25^2-0.75^2\\[5px] & &=\color{blue}{(9.25+0.75)(9.25-0.75)}\\[5px] & &=10 \times 8.5\\[5px] & &=\boldsymbol{85}\;…\;答え \end{eqnarray}

式の値

式の値を求める問題では、複雑なものになるとそのまま式に数値を代入すると計算が面倒になるので、式を展開や因数分解を利用して計算を工夫します。

例 題 \(\boldsymbol{1}\)

\(x=305\) のとき、 \(x^2-10x+25\) の値を求めなさい。

\(305\) を使って多項式を計算するのは、とても面倒なので、式を因数分解します。
\((x+a)(x+b)\) において、掛けて \(25\) になり、足して \(-10\) になる \(a,\;b\) の組合わせを求めると、 \begin{eqnarray} & &(a,\hspace{9px}b)=(\color{red}{-5,\hspace{7px}-5})\\[5px] & &\small{ですから}\\[12px] & &x^2-10x+25=(x-5)(x-5)\\[5px] & &=\boldsymbol{(x-5)^2} \end{eqnarray} に直せます。この式の \(x\) に \(305\) を代入して、 \begin{eqnarray} & &(305-5)^2\\[5px] & &=300^2\\[5px] & &=\boldsymbol{90000}\;…\;答え \end{eqnarray}

例 題 \(\boldsymbol{2}\)

\(m=8,\quad n=\cfrac{1}{2}\) のとき、 \((m+n)^2-n(4m+n)\) の値を求めなさい。

式を展開して整理すると、 \begin{eqnarray} & &(m+n)^2-n(4m+n)\\[7px] & &=m^2+2mn+n^2-4mn-n^2\\[7px] & &=m^2-(4-2)mn+(1-1)n^2\\[7px] & &=m^2-2mn\\[12px] & &m,\;n\;\small{にそれぞれ}\\[7px] & &8,\;\cfrac{1}{2}\;\small{を代入して}\\[12px] & &8^2-2 \times 8 \times \frac{1}{2}\\[7px] & &=8^2-8\\[7px] & &=64-8\\[7px] & &=\boldsymbol{56}\;…\;答え \end{eqnarray}

整数の性質

式の展開や因数分解を利用して、整数の性質を説明します。説明問題は、図形の証明などと並んで応用問題の代表的なもので、入試問題にもよく出題されますからしっかり覚えてください。

例 題

\(5,\;6,\;7\) のように連続する \(3\) つの整数において、真ん中の数の \(2\) 乗から \(1\) を引くと、両端の数の積に等しいことを説明しなさい。

文字を使って \(3\) つの整数を表すことからはじめます。
問題文では「真ん中の数」について述べているので、真ん中の数をアルファベットの \(\boldsymbol{n}\) に置きかえると、\(3\) つの整数は小さい順に \[n-1,\quad n,\quad n+1\] となります。次に、「数量関係」を表す文を数式に直します。

説 明
真ん中の整数を \(n\) とすると、\(3\) つの整数はそれぞれ \[n-1,\quad n,\quad n+1\] 「真ん中の数の \(2\) 乗から \(1\) を引く」は、 \[\boldsymbol{n^2-1}\;――\;1\] 同じく、「両端の整数の積」は、 \[\boldsymbol{(n-1)(n+1)}\;――\;2\] \(2\) は和と差の積であり、これを展開すれば \begin{eqnarray} & &(n-1)(n+1)=(n+1)(n-1)\\[5px] & &=\boldsymbol{n^2-1}\\[5px] & &\small{よって、}\\[5px] & &1\;\small{と}\;\normalsize{2}\;\small{は等しい} \end{eqnarray}
真ん中の整数の \(2\) 乗から \(1\) を引いた数はその両端の整数の積に等しい … 説明終わり

問題文の内容から「真ん中の整数」を \(n\) で表しましたが、\(1\) 番小さい整数が \(n\) でも同じ結果が得られます。

\(3\) つの整数はそれぞれ \[n,\quad n+1,\quad n+2\] となり、 \begin{eqnarray} & &(n+1)^2-1=n(n+2)\\[5px] & &\small{より、}\\[12px] & &左辺\\[5px] & &=n^2+2n+1-1\\[5px] & &=\boldsymbol{n^2+2n}\\[12px] & &右辺\\[5px] & &=\boldsymbol{n^2+2n} \end{eqnarray}

図形の性質

問 題
たてと横の長さが \(x\;cm\) の正方形がある。たての長さを \(6\;cm\) 長くし、横の長さを \(4\;cm\) 短くすると、面積はもとの面積よりもどれだけ増えるか答えなさい。

求める答えはたてと横の長さを変えた図形の面積はもとの図形の面積よりどれだけ大きくなるかなので、 \[(新しい図形の面積)-(もとの図形の面積)\] という式が思い浮かびます。

もとの図形の面積 \(=\) たてと横の長さが \(\boldsymbol{x\;cm}\) の正方形の面積
\begin{eqnarray} & &\small{より、}\\[5px] & &=x \times x\\[5px] & &=\boldsymbol{x^2}\;(cm^2)\;――\;1 \end{eqnarray}

新しい図形の面積
\begin{eqnarray} & &=(x\;\small{より}\;\normalsize{6\;cm}\;\small{長いたての長さ}\normalsize{)}\\[5px] & &\quad \times (x\;\small{より}\;\normalsize{4\;cm}\;\small{短い横の長さ}\normalsize{)}\\[5px] & &=(x+6)(x-4)\;(cm^2)\;――\;2\\[12px] & &1-2\small{より、}\\[5px] & &(x+6)(x-4)-x^2\\[5px] & &=x^2+2x-24-x^2\\[5px] & &=\boldsymbol{2x-24} \end{eqnarray}

\(∴\quad \boldsymbol{2x-24}\;(cm^2) 増える\;…\;答え\)

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