基礎学習と応用学習

約束ごとや定義などの「ことばの意味」や、計算のルールといった基礎学習に対して、基礎知識を利用し、うまく工夫して難問を解いていく応用学習について理解します。

基礎学習

基礎学習 その \(\boldsymbol{1}\)

各項目では、最初に「何を学習するのか」という「要点」を理解することから基礎学習ははじまりま す。 たとえば、「正の数・負の数」では、正の数・負の数についての「約束ごと \(=\) 定義」を理解します。

正の数は「ゼロより大きい数をいう」
負の数は「ゼロより小さい数をいう」
負の数には、負の符号(マイナス記号)をつけて表す
正の数には、正の符号(プラス記号)をつけるがふつう、省略される

「約束ごと」や「定義」は、主に日本文で表現され、決まりごとであり、絶対ですからそれには従わなければなりません。 意味を理解したら、次に、使い方や性質、計算方法などを理解していきます。

\begin{eqnarray} & &7-9=7+(-9)\\[5px] & &=-(9-7)\\[5px] & &=-2 \end{eqnarray}

という計算では、「正の数・負の数の減法(引き算)は加法(足し算)に直して計算する」という計算方法が説明されます。続いて、

「\(\boldsymbol{9}\) を引くことは、 \(\boldsymbol{-9}\) を足すことと同じ」

という、正負の数の性質が付け加えられます。

\[=7+(-9)\]

これら「計算の手順、方法」についての説明をくり返し分かるまで読みます。また、上の計算例では \(-(9-7)\) という表現があり、 それについては、「異符号の \(\boldsymbol{2}\) 数の和」という説明があります。これも \(1\) つの約束ごと(\(=\;\)定義)で、

\(\boldsymbol{2}\) 数の絶対値の差に、絶対値が大きい方の符号をつけて計算する

という説明が付け加えられます。もし「絶対値」の意味が分からないときには、「絶対値」について説明するところまで戻って理解し直します。 この場合、原点 \(0\) からの距離が大きいのは \(-9\) ですから、\(9\) から \(2\) を引き \[9-7=2\] としてから、大きい方の絶対値 \(9\) の符号(マイナス記号)をつければ正解です。 \begin{eqnarray} & &=-(9-7)\\[5px] & &=-2 \end{eqnarray} 数学の基礎学習では

\(\boldsymbol{1.}\) 用語の意味や約束ごと(\(=\) 定義)をしっかり理解する
\(\boldsymbol{2.}\) \(\boldsymbol{1.}\) を利用して計算や証明を行う

を意識して行います。中学数学は、約束ごとを表す文章が小学校のときに比べて複雑になるからそれだけ難しくなります。そのため、数学に苦手意識を持ってしまう人が多くなります。一字一句ていねいに文章を読んで理解を重ね、表現に慣れるようにします。

基礎学習 その \(\boldsymbol{2}\)

基礎学習の \(1.\) を十分理解したら、問題集などを使って理解を深めていきます。定義や公式をいくら暗記できても、使い方がわからなければ問題集は解けません。

数学は暗記する教科ではなく、使い方を理解する教科

よって、自分のレベルに応じて演習問題をこなし、さらなる高みを目指して行けばよいのです。

応用学習

身の回りのいろいろな出来事について、数学的思考を当てはめる文章問題を解くには、問題文をよく読み、表や図を描いて、問題がたずねる内容を十分理解します。次に、問題の解き方を時間をかけて考え、どうしてもわからないときには解答と解説文を見るようにします。 解けない問題の場合、以前解いたものや参考書や問題集に掲載されている似た問題を探して、これを解くことにより、解けない部分が理解できることがあります。 このように、解答と解説を見る前に似た問題を参考にするという方法もあります。

文章問題の解き方
\(\boldsymbol{1.}\) 問題文の内容を理解する
\(\boldsymbol{2.}\) \(\boldsymbol{1.}\) を数式に直す
\(\boldsymbol{3.}\) \(\boldsymbol{2.}\) の式を解く
\(\boldsymbol{4.}\) 式の解が問題の答えに適するかどうかを確認する

問題を解く

問 題 \(\boldsymbol{1}\)
\(3\) つの連続する奇数の和は \(3\) の倍数であることを説明しなさい

問 題 \(\boldsymbol{2}\)
\(3\) ケタの正の数があり、各位の数の和が \(9\) の倍数であるとき、この \(3\) ケタの数は \(9\) の倍数であることを説明しなさい

問題がよく分からない場合、すぐに答えを見るのではなく、まず、問題の基礎について見直します。 同時に、「類題」を探し出し、解き方や解説を参考にして、もとの問題の解き方を見つけ出します。 「奇数・偶数の表し方」「\(3\) ケタの整数の表し方」などは基礎的内容に当たりますから、これらを整理しておきます。

問題 \(1\) で、ある整数を \(n\) とすれば、偶数は \begin{eqnarray} & &2\;\small{で割り切れる数}\\[5px] & &=\boldsymbol{2n} \end{eqnarray} 奇数は \begin{eqnarray} & &2\;\small{で割ると\;1\;あまる数}\\[5px] & &=\boldsymbol{2n+1} \end{eqnarray} であるから、\(3\) つの連続する奇数は \[\boldsymbol{2n+1,\quad 2n+3,\quad 2n+5}\] で表すことができます。

問題 \(2\) で、\(3\) ケタの連続す正の整数の百の位を \(a\)、十の位を \(b\)、一の位を \(c\) とすれば \begin{eqnarray} & &3\;\small{ケタの連続す正の整数}\\[5px] & &\hspace{5px}=100a+10b+c \\[12px] & &\small{これを整理して}\\[5px] & &\hspace{5px}=99a+9b+a+b+c\\[5px] & &\hspace{5px}=9(11a+b)+(a+b+c) \end{eqnarray} 「類題」は、同じ形の問題とは限りません。この場合、「整数に関する問題」であればすべて類題ということになります。

類題を解くことで解けない問題がわかる

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