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受動態の特別用法

特別な受動態とは、受動態の形はしていても受動態の意味にはならなかったり、通常の受動態のように、\(by\;\sim\) の形にならないものなどをいいます。

受動態が好んで用いられる場合

次のような場合、英語では好んで受動態が用いられます。

\(\boldsymbol{a)}\) 行為者を表す必要がないときや、行為者が不明なとき

English is spoken in Canada.
カナダでは英語が話される
\(←\) 行為者は明らかにカナダに住む人々
The house is built last year.
去年その家が建てられた
\(←\) 行為者が不明
Ken was elected captain of the team.
ケンはチームのキャプテンに選ばれた
\(←\) チームのメンバーが行為者
Many people were killed in the war.
戦争多くの人々が亡くなった
\(←\) 行為者が不明

*行為者が不明の場合を除いては「\(by\;+\) 動作の行為者」を文の内容から考えて補うようにします。上の文を能動態に直すと、

\(→\) \(\boldsymbol{\color{red}{People}}\) speak English in Canada.
国民や住民の意味の \(people\)
\(→\) \(\boldsymbol{\color{red}{They}}\) build the house last year.
自分と相手以外の第三者
\(→\) \(\boldsymbol{\color{red}{Somebody}}\)[Someone] broke that window last night.
不定代名詞の〈だれか〉
\(→\) \(\boldsymbol{\color{red}{The\;members}}\) of the team elected Hideki captain of it.
チームのメンバー

\(\boldsymbol{b)}\) 動作を受けるものを重視したいとき

何か被害にあったときなど、被害を与えたものよりも被害を受けたものに重点を置くことが多く、その場合に受動態を用います。

Our school was destroyed \(by\;an\;earthquake\).
僕たちの学校は地震で破壊された。
\(←\) 〈自分たちの学校〉の災害により関心
The 7:30 train was delayed one hour \(by\;the\;heavy\;snow\).
大雪で \(7\) 時半の列車が \(1\) 時間遅れた
\(←\) 〈遅れた列車〉により関心

\(\boldsymbol{c)}\) 文の主語をかえずに続けたいとき

\(1\) つの文の主語が同じほうが、流れが自然でリズムもよくなります。

\(\boldsymbol{\color{red}{Hiroshi}}\) uses the Internet, and is always given useful information by it.
ヒロシはインターネットを利用すると、いつも役に立つ情報〈が〉得られる。

文の前半と後半を同じ主語に統一するために、後半部分が受動態の文になっています。下のように、どちらも能動態 に統一しようとして、主語が異なる \(2\) 文の場合より流れがスムーズになります。
\(Hiroshi\) uses the Internet, and \(it\) always gives him useful information.

\(\boldsymbol{by}\) 以外の前置詞を用いる表現

受動態の行為者は、ふつう \(by\) を用いて表しますが、使われる過去分詞の性質によっては \(with,\;in,\;to,\;at\) など \(by\) 以外の前置詞を用いることがあります。これらは、ひとつの慣用表現として暗記するようにします。

過去分詞が状態を表す形容詞のような働き

be covered with ―― 「~でおおわれている

The ground was covered with snow.
地面は雪〈で/に〉おおわれていた。

be filled with \(=\) be full of ―― 「~でいっぱいだ

The sky is filled with stars.
\(=\) The sky \(is\;full\;of\) stars.
空〈には〉星いっぱいだ。
\(←\) 空は星いっぱいだ

be crowded with ―― 「~で混雑している

The library was crowded with the students on that day.
その日の図書館は、生徒たちで混雑していた

be made of ―― 「~で作られている

材料、原料が変形せずに元の形をとどめている場合
The house is made of brick.
その家はレンガ造りだ。
\(←\) レンガ〈で〉作られている

be made from ―― 「~で作られている

材料、原料が変形して元の形をとどめない場合

Is wine made from grapes ?
ワインはぶどうできているのですか。
\(←\) ぶどう〈から〉作られる

be made into ―― 「~に作りかえられる

原料が製品などの別物に作りかえられる場合に使います
Milk is made into butter.
ミルクからバターがつくられる。
\(←\) バター〈に作り替えられる〉

be made in ―― 「(場所)でつくられている

Is your watch made in Japan ?
あなたの時計は日本製ですか。
\(←\) 〈日本で〉作られている

「~で作られている」のいろいろ

・もとの材質 \(=\) 出来上がり : \(\boldsymbol{made\;\color{yellow}{of}}\)
・もとの原料 \(≠\) 出来上がり : \(\boldsymbol{made\;\color{yellow}{from}}\)
・別ものへの作りかえ : \(\boldsymbol{made\;\color{yellow}{into}}\)
・出来上がり場所 : \(\boldsymbol{made\;\color{yellow}{in}}\)

be caught in ―― 「~にあう、見舞われる

We were caught in a shower when playing in the park.
公園で遊んでいると、にわか雨にあった

* \(when-\)節内 の \(we\;were\) の部分はしばしば省略されます。

be known to ―― 「(人)に知られている

The old man was well known to the students.
その老人は生徒たちによく知られていた。

be known for \(=\) be famous for ―― 「(物事)で知られている、有名である

Beppu is well known for its hot spring.
別府は温泉でよく知られている。
\(=\) Beppu \(is\) very \(famous\;for\) its hot spring.

be known as ―― 「(役割・資格・性質など)として知られている

Ichiro is known as a good major league baseball player.
イチローはすぐれたメジャーリーガーとして知られている

be married to ―― 「~と結婚している

Yumi's sister is married to a doctor in Nagano.
ミの妹は、長野の医師と結婚しています

〈\(\boldsymbol{be}\)動詞 \(\boldsymbol{+}\) 過去分詞〉が感情を表す

日本語ではふつう、「~する」と能動的に表現するのを、英語では受動態で表現することがあります。特に 感情や心理を表す場合に用いられます。このとき、〈前置詞 \(+\) 行為を受けるもの〉が感情や心理の根拠を表します。

be surprised at ―― 「~に驚く

You will be surprised at the news tomorrow.
明日その知らせを聞いたらびっくりするだろう。
\(←\) その知らせ〈に〉驚く

be pleased at \([with]\) ―― 「~によろこぶ、うれしがる

I was pleased at \([with]\) your success.
あなたが成功してうれしかった
\(←\) 成功〈に〉喜んだ

be satisfied with ―― 「~に満足する

You may not be satisfied with the matter.
あなたはその件に満足していないかもしれない。

be disappointed at \([in\;/\;with]\) ―― 「~にがっかりする

We were disappointed \(at\) Mac's absence.
マックが不在我々はがっかりした
Mike is a little disappointed \(with\) the new bicycle.
マイクは新しい自転車少しがっかりしている
Mary was disappointed \(in\) her marriage
メアリーは自分の結婚生活にがっかりした

\(disappointed\) の後に来る前置詞を使い分けを細かく見ると、 失望する対象との関係が深い場合は \(with,\;\)失望する対象との関係に距離がある場合は \(at,\;\)失望する対象の中身に重点を置く場合は \(in\;\)をそれぞれ用います。

be interested in ―― 「~に興味がある

Mike is very interested in \(sumo\).
マイクは相撲とても興味がある

be worried about ―― 「~を心配する

Are you worried about his health ?
あなたは彼の健康を心配しているのですか。

be excited by \([at\;/\;about]\) ―― 「~に興奮する

We were very excited \(at\) the play.
私たちは、その芝居を見てとても興奮した
\(←\) その芝居〈に〉興奮した
We were very excited \(about\) the accident.
その事故のことでとても興奮した

be shocked at ―― 「~にショックを受ける

I was shoked at the sudden news.
突然の知らせにショックを受けた

感情を表す動詞は、他動詞で、「(人)を~させる」という意味になるので、受動態で(人)が主語になると
「(人)は~させられる」 \(⇒\) 「(人)は~する」

に発展すると考えられます。また、〈前置詞\(+\) 行為を受けるもの〉の部分は不定詞句that 節に書きかえられます。 上の例文において、

\(→\) You will be surprised to hear the news tomorrow.
\(→\) I was pleased that you succeeded.

感情を表す文の受動態では、過去分詞が行為を受けるものの動作や状態を表すよりも、主語の様子を表す形容詞のように用いられます。したがって、辞書には「形容詞」としての見出しがのっているものもあります。

慣用的に受動態で用いる

災害や被害などを表す文は、ふつう受動態にします。

Many houses were damaged by the flood.
多くの家が洪水の被害を受けた
\(←\) 洪水〈によって〉被害をこうむった
Many people were wounded \([injured]\) in the accident.
事故多くの人々がけがをした
The plane will be delayed more than an hour \(by\) heavy snow.
大雪、飛行機は \(1\) 時間以上遅れるでしょう。
The little child was almost drowned.
その小さい子はおぼれそうになった。
\(←\) ほとんど〈おぼれた〉

「(~に)けがをさせる、傷つける」

\(\boldsymbol{injure,\;hurt}\) :人や動物の身体・健康・感情・名声など
\(\boldsymbol{wound}\) :特に刃物・銃砲などで
\(\boldsymbol{damage}\) :主に人や生き物以外について
傷つける

次も慣用的に受動態で表しますが、受け身としての意味がすでになくなっています。

生まれる Yumi was born in 1998.
 ユミは1998年に生まれた
~と結婚する Sam got married to Jane last year.
Sam and Jane got married last year.
 サムとジェーンは昨年結婚した
着席する Please be seated ,everyone.
 みなさん、どうぞお座りください。

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