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\(\boldsymbol{1}\) 次関数の式の決定

\(1\) 次関数 \(y=ax+b\) において、\(a,\;b\) は定数なので、その数がわかれば式を求めることができます。式の求め方には大きく分けて、

\(\boldsymbol{1})\) 傾きと他の \(\boldsymbol{1}\) 点から求める方法
\(\boldsymbol{2})\) \(\boldsymbol{2}\) 点から求める方法

の \(\boldsymbol{2}\) 通りがあります。

傾きと他の \(\boldsymbol{1}\) 点から式を求める

傾きが \(\boldsymbol{2}\) で、\(\boldsymbol{x=1}\) のとき \(\boldsymbol{y=-2}\) となる \(1\) 次関数の式を求めましょう。 この場合、

\(1\) 次関数 \(y=ax+b\) の傾きは \(\boldsymbol{a=2}\)
\(x=1\) のとき \(y=-2\) になる直線は点 \(\boldsymbol{(1,\hspace{10px}-2)}\) を通る
\(⇒\) \(y=2x+b\) の式に \(\boldsymbol{x=1,\;y=-2}\) を代入する

\begin{eqnarray} & &-2=2 \times 1+b\\ & &-2-2=b\\ & &\boldsymbol{b=-4} \end{eqnarray} ∴ この直線の式は \(\boldsymbol{\color{blue}{y=2x-4}}\)

\(\boldsymbol{2}\) 点から式を求める

\(\boldsymbol{2}\) 点 \(\boldsymbol{(-4,\hspace{8px}5),\; (3,\hspace{8px}-16)}\) を通る \(1\) 次関数の式を求めましょう。 この方法では

\(\small{①}\) 変化の割合を見出す方法 \(\small{②}\) 連立方程式を利用する方法

の \(2\) つを利用できます。

\(\small{①}\) 変化の割合を求める公式は、

\(\small{\mathbf{変化の割合}}\;=\;\cfrac{\boldsymbol{y}\; \small{\mathbf{の増加量}}}{\boldsymbol{x}\; \small{\mathbf{の増加量}}}\) \(\;=\;\cfrac{\boldsymbol{y}\; \small{\mathbf{の変化後の値}}-\boldsymbol{y}\; \small{\mathbf{の変化前の値}}}{\boldsymbol{x}\; \small{\mathbf{の変化後の値}}-\boldsymbol{x}\; \small{\mathbf{の変化前の値}}}\)

よって、

変化の割合
\(=\{(-16)-(+5)\} \div \{(+3)-(-4)\}\)
\(=(-21) \div (+7)\)
\(=-3\)

変化の割合を求めたあとは \(1)\) の 「傾きと他の \(1\) 点から求める方法」 と同じ手順で行います。
\(y=-3x+b\) の式に \(x=-4,\;y=5\) を代入して、 \begin{eqnarray} 5&=&-3 \times (-4)+b\\ 5&=&12+b\\ b &=&5-12\\ &=&-7 \end{eqnarray} ∴ この直線の式は \(\boldsymbol{\color{blue}{y=-3x-7}}\)

\(\small{②}\) 連立方程式を利用する方法
 変化の割合を求めず、\(2\)点の値を \(y=ax+b\) の式に代入して連立方程式をつくり、これを解いて定数 \(a,\;b\) を求めます。

\(y=ax+b\) において、 \(\boldsymbol{x=-4}\) のとき \(\boldsymbol{y=5}\) であるから \[\color{darkblue}{\boldsymbol{5=-4a+b}}\; \small{――\; ①}\]

\(\boldsymbol{x=3}\) のとき \(\boldsymbol{y=-16}\) であるから \[\color{darkblue}{\boldsymbol{-16=3a+b}}\; \small{――\; ②}\]

\(\small{①②}\) を加減法で解き、\(\small{①}\;-\;\small{②}\) より \(\boldsymbol{b}\) を消去します

\begin{eqnarray} 21&=&-7a\\ a &=& -3\\[12px] a &=& -3\;を\; \small{①\; の式に代入して、}\\ 5&=& -4 \times (-3)+b\\ 5&=& 12+b\\ b&=& 5-12\\ &=& \boldsymbol{-7} \end{eqnarray} ∴ この直線の式は \(\color{blue}{\boldsymbol{y=-3x-7}}\)

これとは別に、\(1\)次関数のグラフから、定数 \(a,\;b\) を求める(直線の式を求める)方法もあります。下図において、\(1\) 次関数 ア、イ の式を求めましょう。

\(1\) 次関数の式 \(y=ax+b\) より、グラフの傾き:\(a\) と切片:\(b\) を求めます。求め方としては、直線と \(\boldsymbol{y}\) 軸との交点 \(\boldsymbol{(0,\hspace{10px}b)}\) を読み取り、次にその点にできるだけ近い読み取りやすいもう \(\boldsymbol{1}\) 点を選びます。 直線と \(y\) 軸との交点が正確に読み取れない場合は、読み取りやすい座標上の \(2\) 点を選びます。直線 ア において、直線と \(y\) 軸との交点は \((0,\hspace{10px}3)\) と読み取れるので、

\[\boldsymbol{b=3}\; \small{――\; ①}\]

次に、点 \((0,\hspace{10px}3)\) にできるだけ近くにあって読み取りやすい \(1\) 点を見つけ、その \(2\) 点から、 \(x\) が正の方向に \(1\) 進むと \(y\) の値は \(2\) 増えることがわかります。

∴ この直線の式は \(\color{blue}{\boldsymbol{y=2x+3}}\) になります。

直線イ では、直線と \(y\) 軸との交点が \((0,\hspace{10px}4)\) と読み取れます。よって

\[\boldsymbol{b=4}\; \small{――\; ②}\]

点 \((0,\hspace{10px}4)\) にできるだけ近くにあって読み取りやすい \(1\) 点を見つけ、その \(2\) 点から、 \(x\) が正の方向に \(3\) 進むと \(y\) の値は \(-2\) 増える(\(2\) 減る) から、

∴ この直線の式は \(\color{blue}{\boldsymbol{y=-\cfrac{2}{3}+4}}\) になります。

演 習

・次の条件に当てはまる1次関数の式を求めなさい。

\((1)\) 傾きが \(3\) で、\(x=2\) のとき \(y=1\) である
\((2)\) 傾きが \(-3\) で、点 \((1,\hspace{10px}2)\) を通る
\((3)\) 変化の割合が \(4\) で点 \((2,\hspace{10px}-6)\) を通る
\((4)\) \(2\)点 \((1,\hspace{10px}3),\;(3,\hspace{10px}11)\) を通る
\((5)\) \(2\)点 \((-6,\hspace{10px}1),\;(9,\hspace{10px}-9)\) を通る

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変 域

直線の傾きと切片

変域について学習する前に、直線 \(y=ax+b\) について詳しく見ていきます。 座標平面上の \(y=ax+b\) と\(y\) 軸の交点を切片といい、\(x\) 軸との交点を \(x\) 切片、\(y\) 軸との交点を \(y\) 切片といいます。特に、\(1\) 次関数 \(y=ax+b\) においては、 \(\boldsymbol{a}\) を \(x\) 切片、\(\boldsymbol{b}\) を \(y\) 切片といいます。

次のグラフを見て下さい。

\(\boldsymbol{a}\) :傾いていない \(\boldsymbol{b}\) :小さいく傾く \(\boldsymbol{c}\) :大きく傾く

\(a\) は、 \(x\) の値が変化しても \(y\) の値は変化しません。 一方、\(b,\;c\) は \(x\) の値の変化に応じて \(y\) の値も変化し、その結果直線が傾きます。 このとき、\(\boldsymbol{y}\) の変化の割合が大きいほど傾き方も大きくなります。 直線 \(y=ax+b\) が \(\boldsymbol{x}\) に対してどれくらい傾いているかを数値で表したものを傾きといいます。 つまり、直線の傾きは

\(x\) の増加量に対する \(y\) の増加量の割合 \(=\) 変化の割合

で生じることがわかります。この関係は、

傾き \(=\cfrac{\boldsymbol{y} \small{\mathbf{の増加量}}}{\boldsymbol{x} \small{\mathbf{の増加量}}}\;=\;\small{\mathbf{変化の割合}}\;\normalsize{=\color{blue}{\boldsymbol{\large{a}}}}\)

の式で表すことができます。 \(a\) は \(x\) 切片といいましたが、ふつう、\(\boldsymbol{a}\) を「傾き」というのに対して、 \(\boldsymbol{b}\) を「切片」といいます。

直線 \(y=-\cfrac{1}{2}x+4\) :傾き \(\boldsymbol{\color{crimson}{=-\cfrac{1}{2}}}\) 切片 \(\boldsymbol{\color{crimson}{=4}}\) の直線

直線 \(y=2x-7\) :傾き \(\boldsymbol{\color{crimson}{=2}}\) 切片 \(\boldsymbol{\color{crimson}{=-7}}\) の直線

* \(y=2x-7\) の場合、切片を \(\boldsymbol{7}\) としないように注意します

変 域

変域は、グラフの範囲のことです。 \(1\) 次関数のグラフをかいたとき、横の範囲を「\(\boldsymbol{x}\) の変域」、たての範囲を 「\(\boldsymbol{y}\) の変域」といいます。
\(1\) 次関数 \(y=x-4\) において、 \(x\) の変域が \(-1 ≦ x ≦ 3\) のとき、\(y\) の変域を求めてみましょう。 まず、 グラフをかきます。 \(y=x-4\) は

傾き\(\;\boldsymbol{=a=\color{blue}{1}}\) :切片\(\;\boldsymbol{=b=\color{blue}{-4}}\)

の直線です。傾きが \(1\) ということは「\(x\) が \(1\) 増加すると \(y\) も \(1\) 増加する」ことになります。 図のように、 \(\boldsymbol{(0,\hspace{10px}-4)}\) を起点に、\(x\) の値を正の方向に \(\boldsymbol{1}\) 進めるごとに \(y\) の値を \(\boldsymbol{1}\) 増やしたところに点をとり、 点 \((0,\hspace{10px}-4)\) とそこからなるべく離れた \(1\) 点を選んでその \(2\) 点を結びます。

この直線の横の範囲(\(x\)の変域)を\(-1 ≦ x ≦ 3\) に限定すると

これにより、\(y\) の変域は \(\color{blue}{-5 ≦ y ≦ -1}\) であることがわかります。

次に、\(\boldsymbol{1}\) 次関数 \(\boldsymbol{y=-\cfrac{2}{3}x+3}\) において、\(x\) の変域が \(-1 ≦ x ≦ 3\)  のときの \(y\) の変域を求めましょう。このグラフは、

傾き\(\;\boldsymbol{=a=\color{blue}{-\cfrac{2}{3}}}\) :切片\(\;\boldsymbol{=b=\color{blue}{3}}\)

の直線です。傾きは \(-\cfrac{2}{3}\) なので 「\(x\) が \(3\) 増加するとyは \(-2\) 増加する [\(2\)減少する]」ことになります。 この場合、点 \((0,\hspace{10px}3)\) を起点に、 \(x\) の値を正の方向に \(3\) 進めるごとに \(y\) の値を \(-2\) 増やし( \(2\) 減らし)たところに点をとり、 点 \((0,\hspace{10px}3)\) とそこからなるべく離れた \(1\) 点を選んでその \(2\) 点を結びます。 

右下がりのグラフでは、\(x\) の値が小さいほど \(y\) の値は大きく、 \(x\) の値が大きいほど \(y\) の値は小さくなります。 したがって、 \(x\) の範囲が \(-1 ≦ x ≦ 3\) の場合、 \(x=-1\) のとき \(y\) の値が最大で、\(x=3\) のとき最小になり

よって、\(y\) の変域は \(\color{blue}{1 ≦ y ≦5}\) になります。\(1\) 次関数のグラフは直線なので、\(x\) の範囲が制限されている場合、この直線は

「\(x,\;y\) の変域を \(1\) 辺とする長方形の対角線」

になります。そのため傾きが正ならば対角線は変域の右上と左下の \(2\) 点を通り、 傾きが負なら対角線は変域の左上と右下の \(2\) 点を通ることになります。

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