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文字式の計算

\(-3x+8\) という式は、 プラスの符号で結ばれた \(-3x\) と \(8\) から成っていて、それぞれを式の「」といい、\(2\) つの項の加法(足し算)を表しています。また、この式のように、文字式の中に掛け合わせた文字が \(1\) つ含まれているものを \(\boldsymbol{1}\) 次式といいます。 そして、その中の文字を含む項を「\(\boldsymbol{1}\) 次の項」といいます。掛け合わせた文字が \(2\) つならば、 \(2\) 次式であり、その項は \(2\) 次の項、掛け合わせた文字が \(3\) つならば、 \(3\) 次式であり、その項は \(3\) 次の項 にそれぞれなります。

\(1\) 次式 : \(a,\;-\cfrac{1}{x},\;3x+5\)
\(2\) 次式 : \(ab,\;-x^2,\;bc+7\)
\(3\) 次式 : \(3abc,\;-x^3,\;xyz-3\)

また、\(3x\) の \(\boldsymbol{3}\) 、\(3abc\) の \(\boldsymbol{3}\) のように、文字を含む項における文字以外の部分を係数 (けいすう)といいます。 係数は、「文字に〈係〉わる(=関連する〈数〉」という意味ですが、「係」には「掛ける」という意味があるので、ここでは文字に〈掛〉けられた〈数〉をいいます。一方、\(5\) のように文字を含まない数の項を定数項(ていすうこう)といいます。

「項」の計算

文字式の計算では、加法や乗法の交換法則、結合法則、分配法則を用いて計算しやすくしてから、文字の項と数の項をそれぞれまとめるようにします。 \(2x+4x\) のように、文字が同じ項に限り、計算が可能です。実際は、係数同士を計算します。 \begin{eqnarray} & &2x+4x\\[5px] & &=2 \times x+4 \times x\\[5px] & &=\color{red}{(x+x)+(x+x+x+x)}\\[5px] & &=\boldsymbol{6x}\\[10px] & &\small{\text{実際の計算は}}\;\normalsize{→}\\[5px] & &2x+4x\\[5px] & &=\color{blue}{(2+4)x}\\[5px] & &=\boldsymbol{6x} \end{eqnarray} 次のような式では、\(x\) に係数 \(\boldsymbol{1}\) が省略されていることに注意します。 \begin{eqnarray} & &-\frac{2}{5}x+x\\[5px] & &=-\frac{2}{5} \times x+\color{red}{1 \times x}\\[5px] & &=\left(-\frac{2}{5}+1 \right)x\\[5px] & &=\left(-\frac{2}{5}+\frac{5}{5} \right)x\\[5px] & &=\left(-\frac{5-2}{5} \right)x\\[5px] & &=\boldsymbol{\frac{3}{5}} \end{eqnarray}

次の \(1\) 次式を計算してみましょう。\(1\) 次式の計算では、

・加法の交換法則や結合法則、分配法則を用いる
・文字の項と数の項をそれぞれまとめて計算する

に注意をしながら行います。 \begin{eqnarray} & &-3x-3+5x+8\\[5px] & &(-3x)+(-3)+5x+8\\[5px] & &=(-3x)+5x+(-3)+8\\[5px] & &=\color{blue}{\{(-3)+5\}x+\{(-3)+8\}}\\[5px] & &=(5-3)x+(8-3)\\[5px] & &\boldsymbol{=2x+5} \end{eqnarray} \(1\) 次式の計算は、文字を含む項と数の項をまとめてこれ以上計算できない単位にすることです。

 

かっこのはずじ方

\(+(2x+3),\; -(2x+3)\) のような式では、正負の符号のあとに \(1\) が省略されていて、 \[\boldsymbol{\color{darkblue}{(+1) \times (2x+3),\; (-1) \times (2x+3)}}\] の形になっており、分配法則を利用して \begin{eqnarray} & &+(2x+3)\\ & &\hspace{10px}=(+1) \times (2x+3)\\ & &\hspace{10px}=\color{blue}{1} \times 2x+\color{blue}{1} \times 3\\ & &\hspace{10px}=2x+3\\[10px] & &-(2x+3)\\ & &\hspace{10px}=(-1) \times (2x+3)\\ & &\hspace{10px}=\color{blue}{(-1)} \times 2x+\color{blue}{(-1)} \times 3\\ & &\hspace{10px}=-2x+(-3)\\ & &\hspace{10px}=-2x-3 \end{eqnarray} とします。

文字式の加法と減法

文字式を加えたり(足したり)、減らしたり(引いたり)する場合、

\(\small{①}\) 文字式にかっこをつけ、[\(+\)] や [\(-\)] 記号でつなぐ
\(\small{②}\) かっこをはずす
\(\small{③}\) 文字の項と数の項をそれぞれ 計算する

\(-3x+4\) と \(4x-5\) の \(2\) つの式を足したり、引いたりしてみましょう。

・\(\boldsymbol{2}\) つの式を加える \begin{eqnarray} & &(-3x+4)+(4x-5)\\[5px] & &\hspace{10px}=-3x+4+4x-5\\[5px] & &\hspace{10px}=(-3+4)x+(4-5)\\[5px] & &\hspace{10px}=+(4-3)x-(5-4)\\[5px] & &\hspace{10px}\boldsymbol{=-1} \end{eqnarray}

・左の式から右の式を引く \begin{eqnarray} & &(-3x+4)-(4x-5)\\[5px] & &\hspace{10px}=(-3x+4)+\{-(4x-5)\}\\[5px] & &\hspace{10px}=(-3x+4)+(\color{blue}{-4x+5})\\[5px] & &\hspace{10px}=-3x+4+(-4x)+5\\[5px] & &\hspace{10px}=-3x+(-4x)+4+5\\[5px] & &\hspace{10px}=-(3+4)x+9\\[5px] & &\hspace{10px}\boldsymbol{=-7x+9} \end{eqnarray}

いちいち式に(   )をつけるのにもちゃんと理由があります。減法(引き算)では、引かれる数の符号のが変わってくるので計算ミスを防ぐのに役立ちます。

減法 \(→\) 加法

ある数を減じる \((=\)引く\()\)
\(=\) ある数の
符号を変えて加える \((=\)足す\()\)
\(\boldsymbol{(4x-5)}\) を引く
\(=\boldsymbol{-(4x-5)}\) を足す

文字次式の乗法・除法

文字と文字、文字と数字 の積では、[\(\;\times\;\)] 記号が省略されます。 このとき、数字同士の計算が可能です。また、同じ文字の計算の場合は累乗計算をします。 \begin{eqnarray} & &4x \times 6y\\[5px] & &\;=4 \times x \times 6 \times y\\[5px] & &\;=\color{blue}{4 \times 6 \times x \times y}\\[5px] & &\;=\boldsymbol{24xy} \end{eqnarray}

\(3x+4\) のような〈\(1\) 次の項〉\(+\)〈数の項〉の式の乗法・除法では、

「分配法則」 \(:\;(a+b) \times c=ac+bc\)

を用いて計算します。次の式の計算をしてみましょう。
\begin{eqnarray} & &(1)\quad(5x-2) \times (-4)\\[5px] & &(2)\quad(56x-24) \div 8 \end{eqnarray}

\((1)\) 分配法則を利用して、かっこをはずす \begin{eqnarray} & &(5x-2) \times (-4)\\[5px] & &\hspace{10px}=\color{blue}{5x \times (-4)-(+2) \times (-4)}\\[5px] & &\small{\text{減法を加法に変える}}\;\normalsize{→}\\[5px] & &\hspace{10px}=5x \times (-4)+(-2) \times (-4)\\[5px] & &\hspace{10px}=\boldsymbol{-20x+8} \end{eqnarray}

\((2)\) も、分配法則を利用して式を整理します。 \begin{eqnarray} & &\color{blue}{56x \div 8-24 \div 8}\\[5px] & &\hspace{10px}=\frac{56}{8}x-\frac{24}{8}\\[5px] & &\hspace{10px}=\boldsymbol{7x-3} \end{eqnarray}

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