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文字式の利用

文字式の利用では、問題文から、数量関係を表す文字式を導き出すコツを学びます。

文字式が表す数量

次の例題を見ながら、文字式がいろいろな数量を表すのに利用されるのを知りましょう。

\((1)\) たての長さが \(a\;cm\)、横の長さが \(b\;cm\) の長方形の面積を \(S cm^2\) とするとき、 \(S\) を \(a,\;b\) の式で表しなさい。

\(S\) は長方形の面積ですから、長方形の面積をこれらの文字を使って表せばよいことになります。 \begin{eqnarray} & &\small{\text{長方形の面積}}\;\normalsize{=}\;\small{\text{(たての長さ)}}\;\normalsize{\times}\;\small{\text{(横の長さ)}}\\[5px] & &\small{\text{より、}}\\[5px] & &S=a \times b\\[5px] & &\;=\boldsymbol{ab} \end{eqnarray}

\((2)\) 底辺が \(a\;cm\)、高さが \(h\;cm\) の三角形の面積を \(S cm^2\) とするとき、 \(S\) を \(a,\;h\) の式で表しなさい。

三角形の面積\(=(\)底辺\() \times (\)高さ\() \div 2\) の公式に与えられた文字を当てはめます。 \begin{eqnarray} S &=&a \times h \div 2\\[5px] &=&a \times h \times \frac{1}{2}\\[5px] &=&\boldsymbol{\frac{1}{2}ah} \end{eqnarray}

\((3)\) 半径 \(r\;cm\) の円がある。円周率を \(π\) として、円周の長さ \(l\;cm\) を \(π,\;r\) で表しなさい。

円周の長さ\(\;=\;\)直径 \(\times\) 円周率 から、 \begin{eqnarray} & &=2r \times π\\[5px] & &=\boldsymbol{2πr} \end{eqnarray} \(π\) は「パイ」と読み、一般に「\(3.14\)」という数値が与えられていますが、これは、小数点以下ほぼ 無限に続く割り切れない数ですから、 \(2 \times r \times 3.14=\boldsymbol{6.28r}\) のように決まった数で表せません。 よって、ふつうは \(π\) を用います。ただし、 これは数と文字の中間のような存在なので、文字といっしょに用いるときには\(2rπ\) ではなく \(\boldsymbol{\color{red}{2πr}}\) とします。 また、 \(2\) つの関係がイコール「\(\;=\;\)」で結ばれたものを等式 (とうしき)といいます。 「\(\;=\;\)」は \(2\) つが 〈等〉しいという意味を表す〈記号〉から、等号(とうごう)といいます。 \(3+2=5\) や \(y=2x-5\) のような等式で、等号の左側の部分を左辺 (さへん)、 右側の部分を右辺 (うへん)といい、両方合わせて、両辺 (りょうへん)といいます。

次の \(2\) つの関係を等式で表現してみましょう。

\((1)\) ジュースが全部で \(a\) 本あり、 \(b\) 人の男の子たちに \(1\) 人当り \(3\) 本ずつ配ろうとしたら、\(2\) 本足りなかった。

「ジュースが全部で \(a\) 本ある」 と
「\(b\) 人の男の子たちにジュースを \(1\) 人当り \(3\) 本ずつ配ると\(2\) 本少ない」

という \(2\) つの数量関係は等しい関係にあります。 \[\small{\text{ジュースの総本数}}\normalsize{=\boldsymbol{a}}\;\small{\text{(本) ―― ①}}\]    「\(b\) 人の男の子たちにジュースを \(1\) 人当り \(3\) 本ずつ配る」を、「ジュースを \(3\) 本持っている男の子が全部で \(b\) 人」と置きかえます。 \begin{eqnarray} & &\{1 \small{(人)}\;\normalsize{\times 3}\;\small{(本)}\}\;\normalsize{\times b}\;\small{(人)}\\[5px] & &\hspace{10px}=3 \times b\\[5px] & &\hspace{10px}=\boldsymbol{3b} \end{eqnarray} これに「\(2\) 本足りない」という内容を加えますが、

「\(2\) 本足りない」 \(=\)「\(-2\) 本多い
ことだから、

\begin{eqnarray} & &\color{blue}{3b+(-2)=3b-2}\;\small{\text{(本) ―― ②}}\\[5px] & &\small{\text{①}}\;\normalsize{=}\;\small{\text{② より、}}\\[5px] & &\boldsymbol{a=3b-2} \end{eqnarray}

\((2)\) ある数 \(n\) を \(4\) で割ったら、その商が \(p\) で余りが \(r\) になった。

内容がよく分からなかったら、適当な数を文字に当てはめてみます。たとえば、 \(4\) で割って商が \(3\) になる数 といえば、 \begin{eqnarray} & &n \div 4=3\\[5px] & &\small{\text{だから、}}\\[5px] & &n=3 \times 4 & &=\boldsymbol{12} \end{eqnarray} になります。そして、余りが \(1\) なら、\(12\) に \(1\) を加えればよいから、 \[n=12+1=13\] つまり、 \[\boldsymbol{\color{blue}{n=(3 \times 4)+1}}\]

割り算

(割られる数)={(商)×(割る数)}+(余り)
という関係

を表わしています。よって、 \[\boldsymbol{n=(4 \times p)+r=4p+r}\]

このように、等しい関係にあるものを見つけにい場合は、図や表などを利用したり、実際にを当てはめて、整理しながら考える ようにすると分かりやすくなります。

不等式

\(a\) と \(b\) \(2\) つの大小関係を表すと次のようになります。

\(\boldsymbol{・a \lt b}\;:\;a\) は \(b\) よりも小さい
\(⇔\) \(b\) は \(a\) よりも大きい
\(\boldsymbol{・a \gt b}\;:\;a\) は \(b\) よりも大きい
\(⇔\) \(b\) は \(a\) よりも小さい
\(\boldsymbol{・a ≦ b}\;:\;a\) は \(b\) 以下である
\(⇔\) \(b\) は \(a\) 以上である
\(\boldsymbol{・a ≧ b}\;:\;a\) は \(b\) 以上である
\(⇔\) \(b\) は \(a\) 以下である

このように、数や式の大小関係を不等号を用いて表した式を「不等式」といいます。不等号をはさんで左部分を 左辺、右部分を右辺、両方合わせて両辺といいます。

次の \(2\) つの数量関係を不等式で表してみましょう。

\((1)\) ヨシオが持っているお金は \(p\) 円で、彼の弟が持っているお金 \(q\) 円の \(2\) 倍から \(500\) 円を引いた金額より少ない。

\((2)\) 自然数 \(x\) の \(3\) 倍に \(7\) を加えたものが、自然数 \(y\) を \(5\) 倍して \(9\) を引いたものよりも大きい。

解 説
\((1)\) ヨシオの弟が持っているお金 \(\boldsymbol{q}\) 円 \(\boldsymbol{2}\) 倍から \(500\) 円を引いた金額は、 \[\color{darkblue}{\boldsymbol{q \times 2-500=2q-500}}\] で表すことができます。ヨシオの持っているお金 \(p\) 円はこれよりも少ないので、 \[\color{blue}{\boldsymbol{p \lt 2q-500}}\] … 答え

\((2)\) \(x\) の \(3\) 倍に \(7\) を加えたものは \[\color{darkblue}{\boldsymbol{x \times 3+7=3x+7}\;\small{\text{ ―― ①}}}\] で表すことができる。また、 \(y\) を \(5\) 倍して \(9\) を引いたものは  \[\color{darkblue}{\boldsymbol{y \times 5-9=5y-9}\;\small{\text{ ―― ②}}}\] そして、① が ② よりも大きいことを、 \[\color{blue}{\boldsymbol{3x+7 \gt 5y-9}}\] … 答え

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