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方程式の文章問題

入試の方程式関連問題の大部分は、文章問題なので、解き方を理解することが攻略には欠かせません。文章問題にはいくつかの分野があります。

 

文章問題の解き方の手順

方程式の文章問題を解く場合、次のような手順で行います。

\(\small{①}\) 問題文の内容を理解する
\(→\) 求める「」を探す
\(\small{②}\) 方程式を立てる
・数量関係の基本
\(A\) と \(B\) は等しい
\(→\) \(A=B\)
\(A\) と \(B\) を合わせると \(C\) となる
\(→\) \(A+B=C\)
\(A\) は \(B\) より \(C\) だけ大きい
\(→\) \(A-B=C\)
\(\small{③}\) 方程式を解く
\(\small{④}\) 方程式の解をチェックする

この手順に従って作成する途中式は、万一間違った場合のミスの発見と、どうしてこのような計算をするのかといった理由付けをすることで、正しい答えを導くために役に立ちます。

数の問題

\(\boldsymbol{1.}\)
ある数と \(8\) との和は、その数の \(3\) 倍よりも \(4\) 小さいとき、ある数を答えなさい。

○○は〈が〉××である」とある場合、「は(が)」 は等号\(\boldsymbol{[\;\color{blue}{=}\;]}\) を表していて、前後の事柄が等しい関係にあります。したがって、

「ある数と \(\boldsymbol{8}\) との和」 \(=\) 「ある数の \(\boldsymbol{3}\) 倍よりも \(\boldsymbol{4}\) 小さい数」
になります。「ある数と \(8\) との和」は、「ある数と \(8\) を足したもの」を表し、「ある数の \(3\) 倍よりも \(4\) 小さい」は、「ある数を \(3\) 倍したものから \(4\) を引いた数」を表します。これについて、ある数を \(x\) とすると、

「ある数と \(\boldsymbol{8}\) を足したもの」 \(=\boldsymbol{\color{blue}{x+8}}\)
「ある数を \(\boldsymbol{3}\) 倍したものから \(\boldsymbol{4}\) を引いたもの」 \(=\boldsymbol{\color{blue}{3x-4}}\)

これらが等しい関係にあるので、\(2\) つの式を等号〈\(=\)〉で結び、 \[\boldsymbol{\color{darkblue}{x+8=3x-4\;\small{\text{―― ②}}}}\] \(\small{②}\) を解きます \begin{eqnarray} & &x+8=3x-4\\[5px] & &x-3x=-4-8\\[5px] & &-(3-1)x=-(4+8)\\[5px] & &-2x=-12\\[5px] & &\;x=-12 \div (-2)\\[5px] & &\;x=6\;\small{――\;③} \end{eqnarray} \(x=6\) が、方程式の解として正しいかを確かめます。 \begin{eqnarray} \small{左 辺}&=&x+8\\[5px] &=&6+8=14\\[10px] \small{右 辺}&=&3x-4\\[5px] &=&3 \div 6-4\\[5px] &=&18-4=14 \end{eqnarray} 両辺が一致したので、これが方程式の解として正しいと確認できました。これにより、

ある数:\(\boldsymbol{6}\) … 答 え

\(\boldsymbol{2.}\)
連続する \(3\) つの整数の和が \(24\) のとき、これら \(3\) つの整数の積を求めなさい。

「連続する \(3\) つの整数」 \(=\)「\(\boldsymbol{1}\) つずつ増える(減る)整数が \(\boldsymbol{3}\) つ

から、ある数を \(x\) とすると、連続する \(3\) つの整数は、 \[\boldsymbol{\color{darkblue}{x,\; x+1,\; x+2\;\small{\text{ ―― ①}}}}\] 「連続する \(3\) つの整数の和」は、「連続する \(3\) つの整数を足したもの」ですから \(\small{①}\) より、 \[\boldsymbol{\color{darkblue}{x+(x+1)+(x+2)=24\;\small{\text{ ―― ②}}}}\] これを解いて、 \begin{eqnarray} & &x+x+1+x+2=24\\[5px] & &x+x+x=24\color{red}{-1-2}\\[5px] & &3x=24-(1+2)\\[5px] & &3x = 24-3=21\\[5px] & &x=21 \div 3\\[5px] & &\boldsymbol{x=7} \end{eqnarray} \(x=7\) が、方程式の解として正しいかを確かめるため、もとの式の \(x\) に \(7\) を代入して \begin{eqnarray} \small{左 辺}&=&x+(x+1)+(x+2)\\[5px] &=&7+(7+1)+(7+2)\\[5px] &=&7+8+9=15+9=24\\[10px] \small{右 辺}&=&24 \end{eqnarray} 両辺が一致したので、方程式の解として正しいと確認できました。

\(\small{①}\) より、連続する \(3\) つの整数は、\(7,\;8,\;9\) ですが、 求める答えは \(3\) つの整数の積になります \begin{eqnarray} & &7 \times 8 \times 9=56 \times (10-1)\\[5px] & &\;=560-56\\[5px] & &\;=504\;\small{――\;答え} \end{eqnarray}

\(3\) つの連続する整数の真ん中の数を \(x\) とすれば、\(3\) つの数は \[\boldsymbol{\color{darkblue}{x-1,\; x,\; x+1}}\] となり、 \begin{eqnarray} & &x-1+x+x+1=24\\[5px] & &\small{\text{より}}\\[5px] & &3x=24\\[5px] & &\;\boldsymbol{x=8} \end{eqnarray} のように、数の項を右辺に移項する必要がなくなり、計算が楽になります。

計算のコツ 連続する \(3\) つの整数を文字式で表す場合、基準となる数 \(\boldsymbol{x}\) を真ん中の数にすると計算が楽になる

分配の問題

「その日作ったコロッケをお店に出すため、パック \(1\) つにコロッケを \(4\) 個ずつ入れると \(36\) 個詰められなくなり、 \(5\) 個ずつ入れるとコロッケは全部詰められ、入れ物は \(4\) パック余る。このとき作ったコロッケの数は全部で何個か求めなさい」

コロッケの個数と、コロッケを詰め込む入れ物のパック数に注目して、 コロッケの数を \(x\) とする方程式か、パックの数を \(x\) とする方程式にするかが考えられます。

\(\boldsymbol{1)}\) コロッケの総数を \(\boldsymbol{x}\) 個とする

入れ物 \(\boldsymbol{1}\) パックにコロッケを \(\boldsymbol{4}\) 個ずつ詰めると コロッケは \(\boldsymbol{36}\) 個詰められなくなる

について、コロッケの総数を \(x\) として入れ物のパックの数を求める式に表すと、 \[\color{crimson}{\small{\text{パック数}}\normalsize{=(x-36) \div 4}\;\small{\text{―― ア}}}\] となります。これは、「コロッケの総数:\(x\)」から「パックに詰まらないコロッケの個数:\(36\)」 を引いた数を「\(1\) パックに入れる個数:\(4\)」で割った数に等しくなります。次に、

「\(\boldsymbol{5}\) 個ずつ入れるとコロッケは全部出せ、 入れ物は \(\boldsymbol{4}\) パック余る」

コロッケの総数を \(x\) として、入れ物のパック数を求める式で表すと、 \[\color{crimson}{\small{\text{パック数}}\normalsize{=x \div 5+4}\;\small{\text{―― イ}}}\] となり、「\(x\) 個のコロッケを \(5\) 等分して詰めたパック数」「余ったパック数 \(4\)」 を加えた数がパックの総数になることを表わしています。

ア、イ は、どちらも「パック数」を表しているので等号〈\(=\)〉で結べます。 \[\boldsymbol{\color{darkblue}{\cfrac{x-36}{4}=\cfrac{x}{5}x+4}}\] この方程式を解きます。 \(4,\;5\) の公倍数 \(20\) を両辺に掛けて、分数を含まない式に直し、 \begin{eqnarray} & &\frac{x-36}{4} \times 20=\left(\frac{x}{5}+4 \right) \times 20\\[5px] & &5(x-36)=4x+80\\[5px] & &5x-180=4x+80\\[5px] & &5x\color{red}{-4x}=80\color{red}{+180}\\[5px] & &x=260 \end{eqnarray}

コロッケの数:\(\boldsymbol{260}\) 個 … 答え

\(\boldsymbol{2)}\) 入れ物のパック数を \(\boldsymbol{x}\) とする

コロッケの総数を \(x\) とすると、分数を含む方程式になるので、入れ物のパック数を \(x\) として考えます。

「入れ物 \(\boldsymbol{1}\) パックにコロッケ \(\boldsymbol{3}\) 個ずつ詰めると \(\boldsymbol{32}\) 個詰められなくなる」

から、コロッケの総数は、 \[\color{crimson}{\small{\text{コロッケの総数}}\normalsize{=4x+36}\;\small{\text{(個) ―― ウ}}}\] 同じく、
「\(\boldsymbol{5}\) 個ずつ詰めると全部詰められ、 入れ物は \(\boldsymbol{4}\) パック余る」
より、 \[\color{crimson}{\small{\text{コロッケの総数}}\normalsize{=5(x-4)}\;\small{\text{(個) ―― エ}}}\] この式は、「\(x\) パックの入れ物に \(5\) 個ずつコロッケを詰めた場合のコロッケ数」 から 「余った入れ物 \(4\) パックに \(5\) 個ずつコロッケを詰めたときのコロッケ数」 を引いた数になります。

ウ、エ は、どちらもコロッケの総数を表す式になり、 \(2\) つを等号で結び、 \[\boldsymbol{\color{darkblue}{4x+6=5(x-4)}}\] この方程式を解き、 \begin{eqnarray} & &4x+36=5(x-4)\\[5px] & &4x+36=5x-20\\[5px] & &4x\color{red}{-5x}=-20\color{red}{36}\\[5px] & &\;-x=-(20+36)\\[5px] & &\;-x=-56\\[5px] & &\;-x \div \color{red}{(-1)}=-56 \div \color{red}{(-1)}\\[5px] & &\;\boldsymbol{x=56} \end{eqnarray}

\(x\) は「入れ物の数」なので、もとの方程式の \(x\) に \(56\) を代入してコロッケの総数を求めます。 \begin{eqnarray} \small{左 辺}&=&4x+36\\[5px] &=&4 \times 56+36\\[5px] &=&224+36=260\\[10px] \small{右 辺}&=&5(x-4)\\[5px] &=&5 \times (56-4)\\[5px] &=&5 \times 52=260 \end{eqnarray}

代金の問題

「マサオは、コンビニで、 \(1\) 本 \(100\) 円の缶コーヒーと、 \(1\) 袋 \(125\) 円のお菓子を合わせて \(10\) 点買って、 \(1250\) 円支払った。お菓子を \(x\) 個買ったとして方程式をくり、お菓子の点数を求めなさい」

この関係を表に表します。

商 品 缶コーヒー お菓子 合 計
\(1\) 点の値段 \(100\) \(125\)
点 数(点) \(x\) \(10\)
代 金(円) \(125x\) \(1150\)

次に、缶コーヒーの点数と代金を、お菓子を買った個数 \(x\) を用いて表します。

商 品 缶コーヒー お菓子 合 計
\(1\) 点の値段 \(100\) \(125\)
点 数(点) \(\color{blue}{(10-x)}\) \(x\) \(10\)
代 金(円) \(\color{blue}{100(10-x)}\) \(125x\) \(1150\)

〈缶コーヒーを買った代金〉と〈お菓子を買った代金〉を合わせた合計を、お菓子を買った点数 \(x\) の方程式で表します。
これを解き \begin{eqnarray} & &125x+100(10-x)=1150\\[5px] & &125x+1000-100x=1150\\[5px] & &125x-100x=1150\color{red}{-1000}\\[5px] & &25x=150\\[12px] & &両辺を\;25\;で割る\\[5px] & &25x \div \color{red}{25}=150 \div \color{red}{25}\\[5px] & &\boldsymbol{x=6}\; \small{… 答 え} \end{eqnarray}

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