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放物線の変域と変化の割合

\(1\) 次関数と同じく、\(2\) 次関数 \(y=ax^2\) のグラフにおいても横の範囲が \(x\) の変域、たての範囲が \(y\) の変域になります。ただ、\(1\) 次関数のようにグラフの両端の点だけを考えればよいのに対して、放物線のグラフでは \(x\) の取り得る範囲に \(x=0\) を含む場合は \(y\) の値の最小値が \(0\) になります。

放物線の変域

グラフの範囲を変域といい、グラフを描いたとき横の範囲を \(\boldsymbol{x}\) の変域、たての範囲を \(\boldsymbol{y}\) の変域といいます。

\(2\) 次関数 \(y=ax^2\) のグラフについて、

\(\boldsymbol{1)\quad a \gt 0}\) のとき

\(\boldsymbol{x ≦ 0}\) の範囲で \(\boldsymbol{y}\) の値は減少する
\(\boldsymbol{x=0}\) のとき \(\boldsymbol{y}\) の値は \(\boldsymbol{0}\) になる(\(=\) 最小値
\(\boldsymbol{x ≧ 0}\) の範囲で \(\boldsymbol{y}\) の値は増加する

よって、グラフは上向きになります。また、常に \(x\) 軸の上側にあるので

\(\boldsymbol{y}\) の変域は \(\boldsymbol{y ≧ 0}\) となる

\(\boldsymbol{2)\quad a \lt 0}\) のとき

\(\boldsymbol{x ≦ 0}\) の範囲で \(\boldsymbol{y}\) の値は増加する
\(\boldsymbol{x=0}\) のとき \(\boldsymbol{y}\) の値は \(\boldsymbol{0}\) になる(\(=\) 最大値
\(\boldsymbol{x ≧ 0}\) の範囲で \(\boldsymbol{y}\) の値は減少する

よって、グラフは下向きになる。また、常に \(x\) 軸の下側にあるので

\(\boldsymbol{y}\) の変域は \(\boldsymbol{y ≦ 0}\) となる

例 題

\(1.\) 関数 \(y=\cfrac{1}{4}x^2\) のグラフにおいて、 \(x\) の変域が \(-2 ≦ x ≦ 4\) のときの \(y\) の変域を求めなさい。

解 説
実際にグラフをかいてみます。最初に、全体のグラフを目立たない点線でかき、求める変域のグラフを実線でかくようにします。変域を求める問題では、特に指示がなくてもあえてグラフをかくように心がけておくと間違いをしなくなります。 \(1\) 次関数の変域は、長方形の対角線になり、グラフの両端の点について考えましたが、放物線ように \(x\) の変域に原点を含むときには、 \(y\) の値の最小値が \(0\) になるので注意します。

∴ \(\boldsymbol{y}\) の取り得る範囲(変域)は \(\boldsymbol{\color{blue}{0 ≦ y ≦ 4}}\)

\(2.\) 関数 \(y=\cfrac{1}{4}x^2\) のグラフにおいて、 \(x\) の変域が \(-6 ≦ x ≦ -2\) のときの \(y\) の変域を求めなさい。

解 説
図のように、 \(x\) の変域には原点を含まないので \(y\) の値の最小値は \(\boldsymbol{x=-2}\) のときになり、

∴ \(\boldsymbol{y}\) の取り得る範囲(変域)は \(\boldsymbol{\color{blue}{1 ≦ y ≦ 9}}\)  … 答え

*ふつう、不等式は数値の小さい順に並べるのでこのように表示します。

放物線の変化の割合

\(1\) 次関数の変化の割合は常に一定で比例定数に等しくなりますが、\(2\) 乗に比例する関数では、変化の割合は一定ではありません。 そのことは、変化の割合を求める公式より明らかになります。

関数 \(\boldsymbol{y=ax^2}\) の変化の割合

\(1\) 次関数と同じく、\(2\) 乗に比例する関数においても変化の割合を求めるには

\(\mathbf{変化の割合}=\cfrac{\boldsymbol{y}\;\mathbf{の増加量}}{\boldsymbol{x}\;\mathbf{の増加量}}\)

を用います。ただ、\(1\) 次関数の変化の割合は一定ですが、\(2\) 乗に比例する関数では変化の割合は一定にならないことに注意します。 \(y=ax^2\) において、 \(x\) が \(m\) から \(n\) へ変化するときの変化の割合を求めます \begin{eqnarray} & &x\;\small{の増加量}\;\normalsize{=n-m\;――\;1}\\ & &y\;\small{の増加量}\;\normalsize{=an^2-am^2\;――\;2}\\[7px] & &2 \div 1\;\small{より、}\\ & &\frac{an^2-am^2}{n-m}=\frac{a(n^2-m^2)}{n-m}\\[7px] & &\hspace{14px}=\frac{a(n+m)(n-m)}{n-m}\\[7px] & &\hspace{14px}=\boldsymbol{\color{crimson}{a(n+m)}} \end{eqnarray} つまり、

\(\boldsymbol{2}\) 乗に比例する関数の変化の割合 \(\boldsymbol{=}\) 比例定数 \(\boldsymbol{\times\;(x}\) の変化後の値 \(\boldsymbol{+x}\) の変化前の値\(\boldsymbol{)}\)

これを \(2\) 乗に比例する関数の変化の割合を求める公式として利用できます。次の場合の変化の割合を求めてみましょう。

例 題

\(2\) 乗に比例する関数 ア \(y=2x^2,\) イ \(y=-x^2\) において、\(x\) の値が \(1\) から \(3\) まで変化する場合と、\(x\) の値が \(2\) から \(6\) まで変化する場合の変化の割合を求めなさい。

ア \(\boldsymbol{y=2x^2}\) において、
\(\boldsymbol{x}\) の値が \(\boldsymbol{1}\) から \(\boldsymbol{3}\) まで変化する場合

\(x=1\) と \(x=3\) を式に代入します \begin{eqnarray} & &x=1\;\small{のとき}\\ & &y=2\times(1)^2=2\times 1=2\\[7px] & &x=3\;\small{のとき}\\ & &y=2\times(3)^2=2\times 9=18\\[7px] & &\small{よって、変化の割合は}\\ & &(18-2) \div (3-1)\\ & &\hspace{14px}=16 \div 2\\ & &\hspace{14px}=\boldsymbol{8}\\[15px] & &\small{変化の割合を求める公式を利用すると、}\\ & &=\color{blue}{2 \times (3+1)}\\ & &=2 \times 4=\boldsymbol{8}\;…\;答え \end{eqnarray}

\(\boldsymbol{x}\) の値が \(\boldsymbol{2}\) から \(\boldsymbol{6}\) まで変化する場合
\(x=2\) と \(x=6\) を式に代入します \begin{eqnarray} & &x=2\;\small{のとき}\\ & &y=2\times(2)^2=2\times 4=8\\[9px] & &x=6\;\small{のとき}\\ & &y=2\times(6)^2=2\times 36=72\\[15px] & &\small{よって、変化の割合は、}\\ & &(72-8) \div (6-2)\\ & &\hspace{14px}=64 \div 4\\ & &\hspace{14px}=\boldsymbol{16}\\[9px] & &\small{同じく、}\\ & &\small{変化の割合を求める公式を利用し、}\\ & &=\color{blue}{2 \times (6+2)}\\[5px] & &=2 \times 8=\boldsymbol{16}\;…\;答え \end{eqnarray}

イ \(\boldsymbol{y=-x^2}\) において、
\(x\) の値が \(1\) から \(3\) まで変化する場合

\(x=1\) と \(x=3\) を式に代入します \begin{eqnarray} & &x=1\;\small{のとき}\\ & &y=-1\times(1)^2=-1\times 1=-1\\[12px] & &x=3\;\small{のとき}\\ & &y=-1\times(3)^2=-1\times 9=-9\\[9px] & &\small{よって、変化の割合は}\\ & &(-9+1) \div (3-1)\\ & &\hspace{14px}=-8 \div 2\\ & &\hspace{14px}=\boldsymbol{-4}\\[12px] & &\small{変化の割合を求める公式より、}\\[5px] & &=\color{blue}{-1 \times (3+1)}\\[5px] & &=-1 \times 4=\boldsymbol{-4}\;…\;答え \end{eqnarray}

\(\boldsymbol{x}\) の値が \(\boldsymbol{2}\) から \(\boldsymbol{6}\) まで変化する場合
\(x=2\) と \(x=6\) を式に代入します \begin{eqnarray} & &x=2\;\small{のとき}\\ & &y=-1\times(2)^2=-1\times 4=-4\\[9px] & &x=6\;\small{のとき}\\ & &y=-1\times(6)^2=-1\times 36=-36\\[9px] & &\small{よって、変化の割合は}\\ & &(-36+4) \div (6-2)\\ & &\hspace{14px}=-32 \div 4\\ & &\hspace{14px}=\boldsymbol{-8}\\[9px] & &\small{公式を利用して、}\\ & &=\color{blue}{-1 \times (6+2)}\\[5px] & &=-1 \times 8=\boldsymbol{-8}\;…\;答え \end{eqnarray}

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