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能動態と受動態

動作を行う人やものを「行為者」といいます。 行為者を主語にして「〇 は[が]~する」のような文を 能動態(のうどうたい)、「行為者」の動作を受けるものを主語して、「△ は 〇 に[よって]~される」 のような言い方の文を受動態(じゅどうたい)といいます。動作を受けるものは、 能動態の文の目的語に当りますので、受動態を作れる動詞は他動詞に限られます。

受動態 主な学習内容
・能動態と受動態について
・受動態の特別なはたらきをマスターする
・「\(\boldsymbol{by\;+\;}\)行為者」以外の受動態について
この項目についてお聞きになりたいことは、 「*ご質問・お問わせ」からお願いします

受動態の基本

次の \(2\) つの文を比べてみましょう。

\(\boldsymbol{(1)}\) [サムは]その窓を割った。
\(\boldsymbol{(2)}\) その窓は[サムによって]割られた。

同じ内容でも、主語が変わると見方も違ってきます。 \((1)\) の文は、行為者である「サム」が主語になり、サムの行為を受ける「窓」は目的語になり、行為者の動作を受けます。\((2)\) は、行為を受ける「窓」が主語になり、行為者 サム は述語動詞を修飾します。 このように、行為を行う側、受ける側を主語にすることによって、違った文が出来上がります。行為を行う側を主語とする文が能動態であり、行為を受ける側を主語とする文が受動態です。

\(\boldsymbol{(1)}\) サムがその窓を割った:[能動態]
Sam broke the window.
サムが 割った。 その 窓を
\((S)\) \((V)\) \(M\) \((O)\)

\(\boldsymbol{(2)}\) その窓はサムによって割られた:[受動態]
The window \(\boldsymbol{\color{blue}{was}}\) \(\boldsymbol{\color{blue}{broken}}\) \(\boldsymbol{\color{blue}{by}}\) Sam.
その 窓は 割られた。 によって サム
\(M\) \((S)\) \(V'\) \(V・C\) \([\hspace{40px}M\hspace{40px}]\)

受動態の基本形 \(\boldsymbol{:[A]\;+\;be}\)動詞 \(\boldsymbol{+}\) 過去分詞 \(\boldsymbol{+\;by\;\sim\;[B]}\)
受動態の意味 \(\boldsymbol{:B}\) が \(\boldsymbol{A}\) によって~される

受動態で用いられる \(be\)動詞も助動詞で、過去分詞は主語の動作や状態を表す動詞と主語の様子を説明する形容詞のはたらきをし、 〈\(\boldsymbol{be}\)動詞 \(+\) 過去分詞〉で \(1\) つの述語動詞になります。

能動態 \(\boldsymbol{⇔}\) 受動態

ここでは、能動態から受動態、受動態から能動態への文の書きかえについて学習します。

能動態から受動態への書きかえ

「彼はこの絵を描いた」を英語に直すと、

He painted this picture.

この文を受動態に直すには、次の手順で行います。

\(\small{①}\) 能動態の文の目的語を主語にする
He \(⇒\) This picture
* 代名詞の場合は、目的格を主格にかえる
\(\small{②}\) 述語動詞を「\(be\)動詞 \(+\) 過去分詞」にする
painted \(⇒\) was painted
* \(be\)動詞は、時制や受動態の文の主語の人称、数によって形が決める
\(\small{③}\) 能動態の文の主語を 「\(by …\)」の形にして、文末に置く
He \(⇒\) by him.
* 代名詞の場合は「\(by\;+\) 代名詞の目的格」の形にする

This picture \(was\;painted\;by\) him.
この絵は彼によって描かれた

受動態から能動態への書きかえ

受動態の文を能動態に書きかえるには、先ほどの逆を行います。

\(\small{①}\) 行為を行うものを主語にする
by him \(⇒\) He
* 代名詞の場合は、目的格を主格にかえる
\(\small{②}\) 述語動詞を能動態に変える
was painted \(⇒\) painted
*同時に能動態の動詞の時制や数を整える
\(\small{③}\) 受動態の主語を目的語の位置へ移す
This picture \(⇒\) this picture.
*代名詞の場合は、主格から目的格にかえる

受動態の文の主語は行為を受けるものであり、能動態の文の目的語になります。よって、受動態をつくる動詞は、原則として目的語を必要とする他動詞や他動詞のはたらきをする群動詞でなければなりません。

Mary plays the piano well.
メアリーはピアノが上手です。
\(←\) ピアノを〈上手に〉ひく
\(⇒\) The piano \(is\;played\) well \(by\) Mary.
ピアノはメアリーが上手にひく
\(←\) 〈ピアノは〉メアリーによって上手に〈ひかれる〉

決まりごと

状態を表す他動詞は受動態にならない
Paul \(\boldsymbol{has}\) a larger house.
ポールは広い家を持っている
\(\times\) A large house is had by Paul.

受動態の時制

\(\boldsymbol{a)}\) 現在形:\(\boldsymbol{am\;[are,\;is]\;+}\) 過去分詞 ――「~される

All the children like their parents.
子供たちは全員、〈自分たちの親が〉好きだ
\(→\) Their parents \(are\;liked\;by\) all the children.
子供たちの親は、子供たち全員から好かれている
\(←\) 子供たち全員〈によって〉

\(\boldsymbol{b)}\) 過去形:\(\boldsymbol{am\;[was\;/\;were]\;+}\) 過去分詞 ――「~された

Peter wrote this novel in 1998.
ピーターは1998年に〈この小説を〉書いた
\(→\) This novel \(was\;written\;by\) Peter in 1998.
〈この小説は〉1998年にピーターが書いた
\(←\) ピーター〈によって〉書かれた

\(\boldsymbol{c)}\) 未来形:\(\boldsymbol{am\;[will\;be]\;+}\) 過去分詞 ――「~されるだろう

He will finish the work next week.
彼は〈その仕事を〉来週終えます
\(→\) The work \(will\;be\;finished\;by\) him next week.
〈その仕事は〉彼が来週終えます
\(←\) 彼〈によって〉終えられるでしょう

受動態を日本語に訳すとき、「小説はピーター〈が〉書いた」や、「仕事は彼〈が〉終えます」などのように言い、「~によって…された」とはふつう言いません。

進行形と完了形の受動態

\(\boldsymbol{d)}\) 進行形:\(\boldsymbol{be}\)動詞 \(\boldsymbol{+\;being\;+}\) 過去分詞 ――「~されてるところだ(だった)

He is mending my watch now.
彼は今、私の〈時計を〉修理中です
\(→\) My watch \(is\;being\;mended\;by\) him now.
私の時計は今、〈彼が〉修理中だ
\(←\) 〈彼によって〉修理されている
Jane was reading the textbook then.
その時、ジェーンは〈教科書を〉読んでいた
\(→\) The textbook \(was\;being\;read\;by\) Jane then.
その時、〈教科書は〉ジェーンが読んでいた
\(←\) ジェーン〈によって〉読まれていた

\(\boldsymbol{e)}\) 完了形:\(\boldsymbol{have\;/\;has\;been\;+}\) 過去分詞 ――「~された、されてきた、されたことがある

We have spent many years building the bridge.
私たちは、その橋を造るのに〈長い年月を〉費やしてきた
\(→\) Many years \(have\;been\;spent\) building the bridge by us.
私たちによって、〈長い年月が〉その橋を造るのに費やされてきた

完了進行形の受動態もありますが、述語動詞部分が長くなるので、あまり好んで用いられないようです。

The meeting 'has been being prepared' all the day.
会議の準備が、\(1\) 日中ずっと続けられている。
\(←\) その会議は \(1\) 日中〈ずっと準備され続けている〉

疑問文と否定文

受動態の疑問文、否定文のつくり方は、\(be\)動詞の疑問文、否定文と同じにします。

否定文
Mr. and Mrs. Smith didn't invite me to the party.
\(→\) スミス夫妻は〈私を〉パーティーに招待しなかった
I \(wasn't\;invited\) to the party \(by\) Mr. and Mrs. Smith.
私は〈スミス夫妻から〉パーティーに招待されなかった

疑問文
Did Masao make this model plane ?
\(→\) \(Was\) this model plane \(made\;by\) Masao ?
この模型飛行機マサオが作ったのですか
\(←\) マサオ〈によって〉作られたのか

疑問詞を含む受動態の疑問文

疑問詞が、文中で主語や主語以外の場合が考えられます。

疑問詞が主語以外: 疑問詞 \(\boldsymbol{+\;be}\)動詞 \(\boldsymbol{+\;\color{blue}{S}\;+}\) 過去分詞 \(\boldsymbol{?}\)

疑問詞の後に一般の受動態の疑問文が続きます

What do you call this flower in English ?
\(→\) \(What\) is this flower called in English ?
この花〈は〉英語で何といいますか
\(←\) 〈何と〉呼ばれるか

疑問詞が主語: 疑問詞 \(\boldsymbol{+\;be}\)動詞 \(\boldsymbol{+}\) 過去分詞 \(\boldsymbol{?}\)

疑問文ですが平叙文の語順になります
What did the students discuss here ?
生徒たちはここで何を議論しましたか
\(→\) \(\boldsymbol{\color{green}{What}}\;was\;discussed\;by\) the students here ?
ここで、生徒たちが議論したのはですか。
\(←\) 生徒たち〈によって〉〈何が〉議論されたか

・「だれによって~」の疑問文

\(\boldsymbol{2}\) 通りのつくり方
\(\boldsymbol{\color{yellow}{Who\;/\;Whom}\;+\;be}\)動詞 \(\boldsymbol{+\;S\;+}\) 過去分詞 \(\boldsymbol{+\;\color{yellow}{by}\;\sim\;?}\)
または
\(\boldsymbol{\color{yellow}{By\;whom}\;+\;be}\)動詞 \(\boldsymbol{+\;S\;+}\)過去分詞\(\boldsymbol{\;\sim\;?}\)

Who painted this fence ?
だれがこの〈フェンスに〉ペンキを塗りましたか。
\(→\) \(Who\;was\) this fence \(painted\;by\) ?
\(→\) \(Whom\;was\) this fence \(painted\;by\) ?
\(→\) \(By\;whom\;was\) this fence \(painted\) ?
このフェンスは〈だれが〉ペンキを塗りましたか。
\(←\) だれ〈によって〉ペンキを塗られたか

助動詞を含む否定文・疑問文

否定文 ―― \(\boldsymbol{S+}\) 助動詞 \(\boldsymbol{+\;not\;be\;+}\) 過去分詞

We cannot see this star in Japan.
\(→\) This star \(cannot\;be\;seen\) in Japan.
〈この星は〉日本では見られません
He has never used that computer.
\(→\) That computer \(has\;never\;been\;used\;by\) him.
〈そのコンピュータは〉彼が \(1\) 度も使ったことがない
\(←\) 彼によって \(1\) 度も使われたことがない

疑問文 ―― 助動詞 \(\boldsymbol{+S+be+}\) 過去分詞\(\boldsymbol{\;\sim\;?}\)

Must we finish the work by tomorrow ?
その仕事明日までに済まさなければなりませんか。
\(→\) \(Must\) the work \(be\;finished\;by\) tomorrow ?
その仕事明日までに済まさなければなりませんか。
How often has Tom visited Tokyo Skytree ?
トムは何度東京スカイツリーへ行ったことがありますか
\(→\) How often \(has\) Tokyo Skytree \(been\;visited\;by\) Tom ?
東京スカイツリーはトムが何度行ったことがありますか
\(←\) トム〈によって〉何度訪問されたか

・完了形の受動態の否定文、疑問文

否定文 S + have [has] not [never] + 過去分詞
疑問文 Have [Has] + S + 過去分詞 ?

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