証明の手順
三角形の合同証明と同じように、次の証明の手順にしたがって証明を行います。
\(\small{①}\) |
証明すべき \(\boldsymbol{2}\) つの三角形を明らかにする。その際、あらかじめ対象の図形の向きをそろえて対応する辺(線分)や角を明らかにしておく |
\(\small{②}\) |
仮定や図形の性質から等しい辺の長さの比や角の大きさを示す |
\(\small{③}\) |
三角形の \(\boldsymbol{3}\) つの相似条件のどれを用いるかを示す |
\(\small{④}\) |
結論を述べる |
例 題 \(\boldsymbol{1}\)
図において、\(△ABC\) は \(∠BAC=90^{\circ}\) の直角三角形である。頂点 \(A\) から辺 \(BC\) に垂線を下ろし、その交点を \(D\) とするとき、\(△ABD \sim △CAD\) であることを証明しなさい。
証 明
\(\small{①}\) |
証明すべき \(2\) つの三角形を明示する |
\[\boldsymbol{△ABD}\;\small{と}\;\normalsize{\boldsymbol{△CAD}}\;\small{について}\]
\(\small{②}\) |
仮定や図形の性質から等しい辺の長さの比や角度を示す |
証明の前に、対象の三角形の向きをそろえて、対応する辺や角がわかるようにしておきます
仮定からわかっていることは、
\[\color{crimson}{∠BDA=∠ADC=90^{\circ}}\]
だけなので、このままでは証明できません。
そこで、 \(△ABC\) と \(△DAC\) の相似関係を最初に証明します
\begin{eqnarray}
& &△ABC\;\small{と}\;\normalsize{△DAC}\;\small{において、}\\[12px]
\small{仮定より、}\\[5px]
& &∠BAC=∠ADC=90^{\circ}\;\small{――\;ア}\\[5px]
& &∠ACB=∠DCA\;\small{(\color{red}{共通の角})\;――\;イ}\\[5px]
& &\small{ア、イ より、}
\end{eqnarray}
\(\boldsymbol{2}\) 組の角の大きさがそれぞれ等しい \(\boldsymbol{2}\) つの三角形は相似であるから、
\[\boldsymbol{△ABC \sim △DAC}\]
相似な \(\boldsymbol{2}\) つの三角形の対応する角の大きさはすべて等しいので、
\begin{eqnarray}
& &\boldsymbol{∠ABC=∠DAC}\;――\;\small{ウ}\\[5px]
& &∠ABC\;\small{は}\;\normalsize{△ABD}\;\small{の}\\[5px]
& &∠DBA\;\small{と一致するので}\\[5px]
& &\boldsymbol{∠DBA=∠DAC}\;――\;\small{エ}\\[12px]
& &\small{仮定より、}\\[5px]
& &\boldsymbol{∠BDA=∠ADC}\\[5px]
& &\hspace{69px}\boldsymbol{=90^{\circ}}\;――\;\small{オ}
\end{eqnarray}
\(\small{③}\) |
三角形の \(3\) つの相似条件のどれを用いるかを示す |
エ、オより、
\(\boldsymbol{2}\) 組の角の大きさがそれぞれ等しい \(\boldsymbol{2}\) つの三角形は相似である
\[\boldsymbol{△ABD \sim △CAD}\;である\]
… 証明終わり
必要な仮定や図形の性質が少ないと、\(\small{①}\;\normalsize{\sim}\;\small{③}\) まで証明がスムーズに進まないことがあります。そのようなときには、
\(\small{①}\) の図形とは異なるものにつての相似関係を証明することで、不足している性質が見つかる場合があります。
例 題 \(\boldsymbol{2}\)
図において、\(AC=15\;cm,\quad AB=25\;cm,\quad AD=9\;cm\) であるとき、\(△ACD \sim △ABC\)
であることを証明しなさい。
証 明
\(\small{①} \quad \boldsymbol{△ACD}\) と \(\boldsymbol{△ABC}\) において
\(\small{② \quad ①}\) の三角形の向きをそろえておきます
\begin{eqnarray}
& &\small{仮定より、}\\[5px]
& &AB:AC=25:15\\[5px]
& &\hspace{10px}=5:3\\[5px]
& &AC:AD=15:9\\[5px]
& &\hspace{10px}=5:3\\[12px]
& &\small{よって、}\\[5px]
& &AB:AC=AC:AD\\[5px]
& &\hspace{10px}=\boldsymbol{5:3}\;\small{――\;ア}\\[5px]
& &\boldsymbol{∠BAC=∠CAD}\;\small{(\color{red}{共通の角})\;――\;イ}
\end{eqnarray}
ア、イより、
\(\small{③}\) \(2\) 組の辺の長さの比とその間の角の大きさがそれぞれ等しい \(2\) つの三角形は相似である から、
\(\small{④}\)
\[\boldsymbol{△ACD \sim △ABC}\;である\]
… 証明終わり